メルサ・チャームコーナー(映画)


メルサ・チャームコーナー


テーマソング
http://www.youtube.com/watch?v=xlrtICh5mz8

かつて 東海ラジオで放送されていた名鉄メルサ提供の映画紹介の5分番組、メルサチャー
ムコーナーを現代にまで続けてみました

123 軽蔑

2011 監督   出演 高良健吾 鈴木杏 大森南朋 緑魔子 村上淳 日向寺雅人 小林


紀州新宮の情景、その美しい素材を生かした画面には魅了された。
熊野川河口のあの場所を映画の軸としたことは正解だ。
「火まつり」以来の紀州の好作品と期待していたが

中上作品の映画化、原作が書かれた時代に映画になればよかったのだが、あの時代を今に
ずらせての製作にはむつかいしところがある。コンセプトとしてのバブルと借金とトップレスダン
サー=いい女 そのスリリングを現在の設定では表現できるはずがない。
さらに 作品を引っ張るサチ、鈴木杏は演技力のあるいい女優ではあるがこの作品の男が狂
う女性には程遠いイメージだ。

幼児体系な彼女のさしてうまくないポールダンスは笑ってしまう。むしろ高良健吾が妖艶なだけ
にバタ臭く見える。

マダムの緑魔子は久しぶりに魅させていただいた。この人の20代の頃なら「サチ」にいけるだ
ろう

あと光るのは日向寺雅人。3人に親友役では一番存在感がある。山畑に捕まった浜辺のシー
ンでは泣かされる

大森南朋 評価は分かれるだろうが、小憎らしい

122 王様のスピーチ

2011 監督 トムフーバー 出演 コリンファース ジェフリーラッシュ ヘレナボナムカーター
 ガイピアーズ ティモシースポート

英国王朝のある意味で題材にできなかった作品が、世界的にヒットした。
第二次世界大戦中の精神的柱だったジョージ6世の吃音、禁句的なテーマを掘り起こして逆に
彼の人間性を描きだしている。
ストーリー展開も自然。イギリス王朝のはでやかな世界の中で、十分ひきつけられる。
エリザベス女王、ウィンザー公、さらにシンプソン夫人事件など
イギリス王家のエピソードもいっぱい詰まっている。

なんといってもローグを演じたジェフリーラッシュが巧妙である。メリハリのうまさは光る。
さらにジョージ6世のコリンファースも、それに応える演技だ

王妃役のヘレナボムカーターは魅力的だ。
笑ってしまうのがそっくりチャーチル ティモシースポート 怪優だ

アカデミー賞にふさわしい作品である

121 岳

2011 監督片山修 出演 小栗旬 長澤まさみ 石黒賢 佐々木蔵之助 渡辺篤郎 光石研
 市毛良枝 

北アルプスをとらえたワイドなカメラワークはすばらしい。山岳映画としては魅惑的なシーンが
いっぱいである。
ストーリー的にはやはりマンガチックである。
それゆえに泣かされ笑わされる。シリーズ化でもするつもりだろうか

三歩のキャラはあまりにもスーパーマンで、久美の設定もありきたりである。
それでいて、死体を突き落とすシーン、友人を背負って下山するシーンなどはリアルすぎる。
明るさとくらさが同居しなんとなく違和感も感じる映画だ。

長澤まさみがまた光り始めている。
彼女でしかできない役だろう
現実感と、そして明るい魅力、感覚を同じ視点に持ち込む演技
それに比べて小栗は平凡だ。

渡辺篤郎のパイロット牧さんの渋さが光っていた。親子役の光石研 中越典子もリアルであ
る。
さらに市毛のお母さんなど 脇はしまっていた。 



120 RAILWAYS 愛を伝えられない大人たち

2011 監督 蔵方政俊  出演 三浦友和 余貴美子 小池栄子 中川家 塚本高史 中尾
明慶 仁科亜希子 西村和彦 

二作目となった地方私鉄の舞台の映画。鉄道マニアにはたまらない作品だ。富山を走るレッド
アローをはじめ貴重な車両の映像は見事だ。
しかしストーリーは熟年離婚。重苦しいストーリーだ。熟年夫婦の簿妙な心理を描いていく。。
さらに吉行和子演じる老婆の介護の問題も

三浦友和 息子に続いての登場だがすっかり日本映画の顔になった。
今回は妻役の余貴美子がいい。この女優は50になってますます開いてゆく。演技が自然だ。
電車の運転手たちのなかでは 中川家礼二が面白い。破天荒な運転手だが。
塚本高史 中尾明慶といった若手の芸達者が脇を固めている。
主人公の元恋人役には仁科亜希子

立山と富山地鉄の懐かしい駅の風景は心に残る。
すれ違い駅での 中川家礼二の笑顔がいい。

ストーリー作りは平凡であるが、雷のシーンなど若干の無理があるように思える。
当然予測できる結末

オーバーフィフティ向けの映画だ

120 阪急電車 片道15分の奇跡

2011 監督 三宅喜重 出演 中谷美紀 宮本信子 芦田愛菜 戸田恵利香 谷村美月 南
果歩 玉山鉄二 有村架純

6つの物語を阪急電車で連結させている映画。それぞれに深い展開もあるが1本の映画でこ
れだけ語っていくのは苦しい
ウェディングドレスで電車に乗る中谷美紀がなんといってもいい。
この女優は完全にのっている。だけにもう少し深く物語を展開できればと思う。

さらに宮本信子のおばあちゃんも。関西弁の軽妙な演技は見ていて安心できる

久々の南果歩。関西のおばちゃんの物語の部分も圧倒された。
ありうる風景である。

田舎からの大学生権田原ちゃんのお物語。DVに悩む女子大生。関学をめざす受験生 など 
物語は動いても接点は同じ電車に乗るだけ

やはり細切れオムニバスのテレビドラマ。。という域を脱しえない分だけ損な映画だ


119 海炭市叙景

2011 監督 熊切和嘉 出演 谷村美月 竹原ピストル 加瀬亮 小林薫 南果歩 中里あ
き 山中崇 西堀滋樹    

不運の作家佐藤泰志の作品の映画化、函館を舞台にした画面は美しい。
オムニバスゆえ深い展開はないが、それぞれのストーリーは惹かれるものがある。

失業した兄妹 縁の遠い市電の運転手親子 立ち退きのおばあさんと市職員 不倫している
プロパン屋の社長 妻が夜の街で働くプラネタリウム職員など
原作の世界は表現しているものの、やはり全体的に暗く、ヒットには至っていない

トキばあさんが最高だ。中里あき という素人さんらしいが、役者を食っている。
市電の運転手の西堀滋樹 映画の実行委員長らしいが、台詞となるときつい 
はじけている妻役の南果歩 最近は精力的にやっている
加瀬亮 今回も一番美味しい役を持っていった。

地味なプロパン屋 プロパンで指をつめるシーンは笑えるが泣けた。
竹原ピストル 派手ではないがこれからの大きな可能性を感じる




118 アウトレイジ

2010 監督 北野武
出演 ビートたけし 三浦友和 椎名桔平 国村隼 小日向文世 加瀬亮 杉本哲太 北村総
一郎 

世界の北野に、日本映画界の脂の乗った役者 三浦友和・国村・小日向・椎名・石橋に加え、
いい映画に必ずいる加瀬・最近存在感を益した杉本哲太・・・さらに塚本高史まで
日本の今のいいところの役者を全部揃えたという感じ
これで悪い映画になるわけがない。
三浦友和の重さと小日向の軽さが対照的で面白い。

派手なバイオレンスシーン、特に殺しのシーンはたけし的ギャグの効いたインパクトもあり
海外的には受けるだろう。

ストーリーの流れはうら返しも多く、先が読めずあきさせない展開ではあるが
ちょっと唐突過ぎる部分もある。
映画のテーマ自体としてはわかりづらいが、とにかく最後まで引っ張られる
武映画はテーマがわかりづらいが、久々の出来のいい作品であるようなきがする。
  
さらに脇の役者もいい
今年度「ヌード」で期待の渡辺奈緒子は美しい。大友組では幹部役の森永が存在感ある、ジョ
ジジョバの坂田聡や柄本時生は軽妙、村瀬組では芹沢礼多、池元組では外川貴博と江藤潤、
美人局役のしいなえいひも美しい。
特にラーメン屋のシーンはシュールで圧巻である。おやじのマキタスポーツ、店員のケンタエリ
ザベスが好演している

117 ザオオシマギャング

2010 監督 葉山陽一郎
出演 片岡明日香 小山明子 石堂淑郎 大島渚

大島渚監督の半生を描いたドキュメンタリー的作品なのだが、その作品歴や彼のいろんな歴
史はそれなりに
入れてあり、関係スタッフの証言などで、大島を知らない世代にもこの監督の活動がわかるよ
うには作ってある

しかし虚構も加え、さらにミステリアスで不思議な感覚のつくりになっている。
純粋に大島のドキュメンタリーを作ろうとする女性と、大島を自分のものにしてしまいたいマニ
アの男性

この2人の不思議な関係がこの映画に独特のイントネーションをつける
人によっては「???」という評価もあるだろう

片岡明日香が清楚で魅力的だ。主人公の女性を自然体で演じている
ピュアな演技が光る。

名監督大島渚の世界を再考させられたが、この作品を大島に撮らせたら
どんなふうになるだろうか??

本当に不思議な映画だ

116 RAILWAYS

2010監督 錦織良成
出演 中井貴一 高島礼子 宮崎美子 奈良岡朋子 本仮屋ユイカ 三浦大貴 橋爪功

錦織監督の島根三部作のひとつ。宍道湖と出雲平野の美しい景色を本当に奇麗に撮っている
いくつかのシーンのカメラワークが的確で、島根がすばらしい日本の原風景である田園地帯と
いうことを感じさせる。
さらに一畑電鉄というローカル私鉄をその軸に据え、昭和のノスタルジックな鉄道風景がいっ
ぱいである。

しかし ストーリーに少し無理があり、主人公の感情表現もうまくつながっていかない。
エリート社員だった筒井はもっと仕事に苦しみ、さらに強い鉄道に憧れを持っていないとちょっ
ときつい。
高校球児の挫折も、母の病気もマンネリだ。

出演者はみんな力量はあるが、本仮屋ユイカの娘が新鮮だ。
橋爪と佐野史郎のコンビも絶妙である。さらに謝罪シーンで登場する重役役の阿部プロデュー
サーも貫禄
さらに宮崎美子のヘルパーがいいアクセントをつけている

115 ACACIA

2010監督 辻仁成
出演 アントニオ猪木 石田えり 川津佑介 林凌雅 諏訪太郎 北村一騎 花原章子

ふしぎな映画だ。
アンントニオ猪木という個性の塊を主役に据えてどういう展開が出来るのかという疑問があっ
たが
「大魔神」というキャラで観客をひきつけてしまう
息子をなくしたプロレスラーと、親に捨てられた子どもの家族愛ストーリーだが、大魔神ゆえに
ふしぎな新鮮感がある

函館の情景を十分に生かしている
主人公の住む市営住宅はどこにでもあるものであるが、とてつもなく異次元の町のような感じ
がする
音楽もよくとにかく見ていて気持ちのいい部分がある

子役がいい。
さらに川津佑介、ベテラン俳優はいくつもの深いメッセージを放っていく。諏訪太郎はいつもな
がら軽妙である。
近所の老人役の中では花原章子が特に目に付く

 

114 キャタピラー

2010 監督 若松孝二
出演 寺島しのぶ 大西信満 河原さぶ 篠原勝行 地曳剛 安部磨凛碧 ARATA 吉沢健

この映画のテーマは明確だ
終戦60年後の反戦
そのテーマを「ジョニーは戦場へ行った」と同じコンセプトで表現をしている
こちらは主人公の表情もあるのでリアルだ

しかし映画は妻しげ子 寺島しのぶの演技がすべてだ。
時には藤純子的に、時にはB級ポルノ的にいろんな表情を見せる彼女の狂気的な演技に惹か
れる人も多いだろう。それが主演女優賞につながったのか。
それに比べ大西信満 「赤目四十八滝心中」でも好演したが、こちらはかなり難解だっただろ
う。池に落ちて芋虫のように死ぬシーンは衝撃的だ

戦争に漬かっていく村人に対し反戦のアクセントをつけるクマ篠原、さらにレイプされる中国人
女性役の安部満凛碧の表情が印象的だ。

どういう評価するにせよ
頭の中に焼きつく映画だ。
さらにラストの元ちとせの歌に-驚く

113 酔いがさめたら家に帰ろう

2010 監督 東陽一
出演 浅野忠信 香山美子 永作博美 利重剛 北見唯之 光石研 渡辺真紀子 柊留美
高田聖子

漫画家 西原理恵子夫妻の実物語
一連のオーバーな エピソードは、ありきたりでつまらない部分もあるが、それでも不思議に見
入ってしまう映画である。

特に精神病院の人間関係とエピソードの部分が面白い
この部分を軽妙に引っ張る高田聖子の先生、患者たちは蛍雪次郎、光石、北見ら軽妙であ
る。リアルであり逆にそれが悲しい
美人患者の渡辺真紀子も不思議であるし、特に伊藤さんのシーンは衝撃的である。
さらにシーフードカレーで笑う

アルコール問題が身近だが、身勝手で同情されない病気で
でも苦しんでいる人も多くて・・・
それだけ理解できたのならこの映画の目的は達成できるのだろう

浅野忠信はいつもどおりの演技、永作博美は乾いてあっけらかんと演じている
お涙ちょうだいではない
このギャップが面白い
アルコール依存症対策が理解できる作品である。

ただラストの海のシーンは、ありきたりすぎる



112 しゃべれどもしゃべれども

2007 監督 平山秀平
出演 国分太一 香里奈 伊東四郎 山本浩司 松重豊 八千草薫

二つ目の落語家の物語である。彼が始めた落語塾の人間関係が面白い。
小学生、元プロ野球選手、若い女性。。。
ここを中心に展開していく

伊東四郎は本物の落語家の師匠のように落語も軽快だ。
国分はまさに熱演。

さらに松重の元プロ野球選手もリアル。
こういう個々の役者の好演に比べ全体的なストーリーの流れは中途半端

主人公の恋も中途半端である。
さらに今やブレイクしている香里奈の魅力はまったく出ていない

111 実録 あさま山荘への道程

2007 監督 若松孝二
出演 水野美紀 佐野史郎 ARATA 地曳豪


キャタピラで注目された若松監督の3時間以上にも渡る力作
あの時代を騒がせた日本赤軍のストーリーを忠実に再現している
いまや歴史の物語となった東大講堂、樺美智子の死、赤軍リンチ事件、そしてあさま山荘事件
すべてがよくわかる映画である。

リアルゆえに考えさせられるものも多い。現実を見せて観客に考えさせる
使っている俳優は水野美紀 佐野史郎以外はあまり有名でないが、しかしいい演技をしている
森役の地曳豪 永田洋子役の並木愛枝 この2人のクールな演技がよけいにこの事件のすご
さを語ってくれる。
坂口役のARATAも光っている
さらにこの映画あの田島寧子もでているが

3時間を越えてもまだ見たくなる。浅間山荘事件 さらにその後の革命戦士たちはテロップ
で・・・
この雄大な物語を語っていく

110 ゼロの焦点

961
監督 野村芳太郎
出演 久我美子 高千穂ひづる 有馬稲子 南原宏治 西村晃 加藤嘉 沢村貞子 穂積隆


2009
監督 犬童一心
出演 広末涼子 木村多江 中谷美紀 西島秀俊 杉本哲太 鹿賀丈史 モロ師岡 崎元大
海 

半世紀を経てリメイクされたこの2作品を続けてみた
ストーリーは松本清張のサスペンス、謎解きである

1961 はもう久我美子の美しさであろう
その魅力でひきつけられていく。
野村映画 海の情景の悲しい美しさは抜群である
能登金剛のシーンはまさに絶品だ。

高千穂がまた魅力的で、脇に入る西村晃、加藤嘉
日本映画の伝説的脇役である。ストーリーをつなぎ主役をうまく引っ張り出す

2009 アカデミー最優秀女優賞の2人と米アカデミーの広末 
組みわせだけはすごい。

さらに現代のCG技術はかなりリアリティーな物に仕上げられる
そういう部分に注目して見てみたが

田沼役の木村多江は有馬稲子にない独自の彼女像を好演していたが、広末カラーはこの映
画にはあまりあってないようだ
さらに、前作とは室田像は大きく変えて衝撃的なラストシーンを加えて面白さは出しているが
もちろん杉本哲太と西村晃は比較はできない

モロ師岡の警部補が光っていたが

2009 女優さんの頑張りがもう一つうまく出なかったのでは?


109 いずれの森か青い海

2004 監督 瀬木直貴 
出演 西村美紅 高野八誠 早坂好恵 渡辺哲 小宮泰孝 

四日市を舞台にした作品。三重を舞台にした作品としては「火まつり」以来
重工業港湾都市の日常の風景をじっくりと落としていく。
鈴鹿川河口の風景が美しい。
主人公は地元のタレントスクール出身の西村美紅。まさに新鮮だ。
高野八誠の不思議なおじさん。さらに渡辺哲や小宮泰孝らが演じる、普通の回りの人たちが
この小さな町で静かに動いていく。
日本の地方を描いた良質の作品
しいていえば、東京に行くエンディングにひねりが欲しかった

108 線香花火が落ちる前に

2007 監督 下倉功
出演 阿部英貴 川崎麻衣 三原わかな おもちゃ 石川謙

自主制作映画だが、カメラワークはすばらしい。すべてのシーンがよくできている
丁寧な作り方には驚かされる。
メジャーな俳優を使ってはいないが、川崎麻衣は味があり面白い。

少しつながりのある2組のカップル 中年夫妻の記憶喪失を取り戻す旅は美しい
三原わかな がいい。 
もう一つの友人の死から始まる若いカップル
東京と地方の距離、揺れ動く感情を見事に描いていく

大仕掛けでない作品だが、結構ドキドキする
おもちゃの先輩役が小気味いい

107 後ろから前から

2010 監督
出演 宮内知美 琴乃 金橋良平 柴田光平 草野イニ 千葉ペイトン 街田シオン

ロマンポルノ復活・・というリメイク版だが
ストーリーは原作とまったく違う
お色気コメディー映画であるが、ストーリーは幸せの黄色いハンカチのパロだが
もちろんAVと違って複雑で、笑ってなかせる。

金橋良平が屈折した中年男を好演している。脇役陣も初見だが、柴田・草野のオープニングシ
ーン
ペイトンにしろ劇団出身者の演技は軽妙である。

お色気と笑い この基本の二つが揃った映画がまた流行ることを期待すす





106 沈まぬ太陽

2009 監督 若松節朗
出演 渡辺謙 三浦友和 鈴木京香 松雪泰子 宇津井健 大杉漣 香川照之 木村多江 
桂南光 

3時間以上長い映画である
いくつもの物語を含んで恩地の生涯という長い物語をゆっくりと展開していく
恩地と行天 この2人の人生を軸に小さな物語が並んでいく。
とにかく飽きない。しかしもう少しちじめてもいいのでは

日航機墜落、運輸利権と政治、愛人、恩地の家族の物語・・・
やはり光るのは渡辺謙と三浦友和
この二人の演技の力量に圧倒される。松雪はあくまで切ない。
さらの墜落事故の家族を演じた木村多江、一瞬の演技で見るものをひきつける。事故被害者
の家族の描き方はすばらいい

しかし、日航としてはこの映画に批判的であるという。
ノンフィクションとはいえ確かにむずかしい問題ではあるが
遺族係役の山田辰夫の遺作でもある。


105 サヨナライツカ

2010 監督 イジュハン
出演 中山美穂 西島秀俊 石田ゆり子 マギー 加藤雅也 

とにかくカメラワークは最高である
シーンにおけるカメラの置き場所
その動き
絵としてみた場合の画面
このあたりは○である

問題は
シナリオの無理な作り
中山美穂の設定にはかなり無理がある

和製エマニエルから→いきなり純情物語ではねえ
大きな三箇所の展開には驚くが
どう考えても不自然である

まあ 普通人の中山と西島の純情物語→バンコクでの突然の出会い(もうここで病魔のはなし)
が自然である
安物の韓国風という感じである

マギーがいい 加藤雅也がいい
それだけが財産だ



104 ダーウィンの悪魔

2008 監督 ピーターズエンド
 
アフリカの世界第二の湖ビクトリア湖が
外来種 ナイルパーチの湖となり、湖の生態系は破壊され、パーチの身はヨーロッパへ、骨と
皮だけがアフリカの食料源となっている。さらにパーチを運ぶ飛行機は武器をつんでアフリカに
戻ってくる。
と言うレポートだ。
この加工場の町には、ストリートチルドレン、貧困、少女売春、いろんなまずい社会現象が起こ
っている。

ドキュメンタリー部門では高評価を得ているが、事実なのか、描きすぎなのか、賛否両論があ
るという。
これが、今のアフリカの恥部なんだろうが・・

ビクトリア湖と武器と貧困とアフガンと・・・
何の関係もない言葉がラストまで見ると見事につながってゆく。



103 感染列島

2009  監督 瀬々敬久
出演 妻夫木聡 壇れい 国仲涼子 爆笑問題 カンニング竹山 池脇千鶴 光石研 田山涼
成 藤達也

皮肉にも撮影後に新型インフルエンザと言う現実が発生し手注目を浴びた映画だが。
感染症と言う極めて地味なテーマをとらえて、作られたある意味で珍しい映画だ。

しかし見ていると
なんとなく不自然でリアリティーがない。
学芸会のSFのような展開である。

最初こそ新たに発生した感染症へ政府が立ち向かう姿を描いているものの
これは忽然と消えてしまう。

中盤に来ると
妻夫木と壇の、余にも不釣合いなラブロマンスが入り
高校生の恋人同士と、爆笑問題の家族の
お涙ちょうだい的物語が入り込んでくる。

さらにいきなり種明かし
ここらあたりはもう少しスリリングに行ってほしいところなのに。
父親が伏線どおりに首をつり
アボン国が出てくるあたりから唖然としてしまう。

ラストで見せる妻夫木と壇の若き日の話
これはもっと前に出すべきストーリーだ。 

壇・国仲涼子・池脇千鶴 という期待されてきた女優を使っているが 誰も、ぱっとしない。
むしろ看護師役の馬渕英理何のほうが個性的で
爆笑問題やカンニングのほうがそれぞれの味が出ているくらいである。



102 アバター

2009 監督 ジェイムズキャメロン
出演  サムワーシントン シガニーウィーバー スティーブンラング ゾーイサルダナ
CCHパウンダー ウェスステュデイ

興行収入記録を作ったヒット作品 3Dという新たな映像を提案した作品だが
見ているといろんな映画が出てくる

地獄の黙示録・ レッドクリフ・宮崎作品・黒澤・・・・

いろんな映画を複合させた 未来SFなのだろう

ストーリーに流れは無難
アッと驚くような展開はなく
ただ グラフィック映像技術の進歩に感動する。

アニメと実写の中間作品なのか

衛星パンドラの奇抜な風景はギアナ高地のようだ。

いろんな現実と映像が重なっていく

演技陣
やはりネイティリを演ずるゾーイサルダナが光っている。
その父を演ずるウェスステュデイ
さらに大佐役のスチーブンラングがどこまでも憎い好演だ。



101 ディアドクター

2009 西川美和

出演 笑福亭鶴瓶 八千草薫 瑛太 余貴美子 井川遥 松重豊 笹野高史 

偽医者の滑稽さ。何が正しくて何が悪なのか? 
偽医者を主人公に持ってきたことでストーリー展開が面白くでき、いろんな人間模様が見えてく
る。

これも傑作である。

予算やスケールを考えると沈まぬ太陽より できはいいだろう。

落語家鶴瓶 このところ独特の持ち味がスクリーンで受けている。
今回もベテラン八千草薫、のっている余貴美子らにひっぱられいい味を出している。
瑛太は印象的だ。まさにこれも俳優同士の味のぶつかり合いである。

久々の八千草薫のスクリーンであるが
さすが である。 笹野高史は軽妙
そして余の看護婦

ある意味でおくりびとに共通する演技ではあるが、こういう役なら強い

100 誰も守ってくれない

2009 君塚良一

出演 佐藤浩市 志田未来 柳葉敏郎 石田ゆり子 松田龍平 木村佳乃

犯罪の容疑者の家族の保護という特殊なテーマをよくもこれだけ面白く作り上げたものだ。
ストーリー展開が面白くて、つい吸い込まれていってしまう。
展開の先の読めないのがいい映画でありそういう意味では秀作だ。

佐藤浩市の抑えながらも確実に引っ張っていく演技もいいが、やはり志田未来だろう。
小柄な体と大きな瞳で表現する魅力的な演技であり、彼女の可愛さで映画と一体となってい
く。

中盤の盗聴騒動
さらにペンションの夫妻の心の動きなどスリリングだ

99 私は貝になりたい

2008
監督 福沢克雄

出演 中居政広 仲間由紀恵 石坂浩二 笑福亭鶴瓶 荒川良々 マギー 六平直政

1959版の名作のリメイク
前作ではフランキー堺の名演が光った。
と期待してみたが

中居が主演したドラマ「砂の器」の道行きのシーンと、隠岐の自然だけが印象に残っただけだ
った。
人間ドラマで線層ッと言う深いテーマなのだが、中居、仲間の紅白的夫婦愛ドラマになってしま
っている。

石坂の人間味のある将軍役と荒川良々の不思議な同僚が光っていた。
草なぎ 鶴瓶 鉄也 泉ピン子 と脇も豪華だが、ストーリーがいまひとつでは


98  女殺油地獄

2009
監督 坂上忍
出演 藤川のぞみ 山田キヌヲ 火野正平 柳優怜 

カメラワーク 画面構成はちょっと暗いが
案外 不思議な映像美を感じる。
北野映画を意識しているのか?

有名な原作を別の視点から練り直している。
とにかく 山田キヌヲがいい。
演技も堅実だし、不思議な色気を出している。

一方 藤川のぞみは美的だがせりふが伝わってこない。
抜群の存在感 火野正平 さらに味が出てきた柳 
脇が利いているだけに

ストーリー的にはまあこんなものかと感じる。 
近松の名作品を別の視点からとらえた作品である



97  心中エレジー

2005
監督 亀井享
出演 真島秀和 豊原功補 小山田サユリ 中村優子

4人の視点から と言う作品だが、見ている感じでわかりにくい。
4人が出くわすあの店のシーンで物語が一気につながるが
もう一つ歯切れのよくない作品の感じがする。

4人はそれぞれ味を出している。
小山田サユリ 中村優子 この2人の女優の不思議な個性がアンサンブルしていい。
2人ともまだまだ伸びていくような気がする

それだけにもう少し全体の展開が考えられないものか。

心中シーンもアッと驚くようなものはない。
盛り上がりそうでぷつんと切れてしまう。
ラストの樹海のシーン以降、もう少しひねれるのでは。

画面は美しく いいショットが多いだけに残念 
 
96  萌の朱雀

1997
監督 河瀬直美
出演 国村隼 尾野真千子 和泉幸子 柴田浩太郎

河瀬直美は緑の画家だ。
森や自然を緑できれいに描く。緑のメッセージ。。
画面の美しさにはいつも驚く。

画としてとらえれば、1シーン1シーンが名画である。

西吉野村 幻の鉄道五新線 廃トンネル
老いていく山村
テーマは面白い。

国村隼 尾野真千子以外は素人俳優なのか地域の人なのか?
和泉幸子の祖母がいい味を出している。
隣家の夫妻も地元の人だろうか。
素人ゆえに面白い。

ストーリーが読めない
さらに主人公の失踪が唐突過ぎる。
よくわからない部分も多い

95 ショーシャンクの空に
1995
監督 フランクタボラン
出演 ティムロビンズ モーガンフリーマン ウィリアムサドラー

ショーシャンク刑務所の物語、
無実の罪で刑務所に放り込まれたアンディ
刑務所内の腐敗、暴力、ホモと言った世界を描きながら、ずるがしこく生きていく主人公のアン
ディ。そしてレッド

男と男の物語なのだが
ストーリー展開の面白さもあってひかれていく。

中盤での老人ブルックスの出所、社会生活に適応できず自殺
レッドも同じような道を進んでいくが。。

最後は西海岸でのハッピーエンドに続く。

1995年のアカデミーだけにさすがに面白い作品だ

94 コアラ課長

2005
監督 河崎実
出演 破李拳竜、野村宏伸、黒田アーサー、エリローズ、イボキム 

河崎作品は短絡的で極端で面白い。笑いながら何かを考えてしまう。
こういうコンセプトの映画もあるのか?

てっきり大笑いコメディだと思っていたが
コアラの被りものの課長、うさぎの社長、
真剣に演じられていく。

妻殺し、DV といった重い話題も軽く扱っていく。

スーツアクター破李拳竜の好演も光るが、エリローズの小悪魔的なところは魅力だ。
野村宏伸はかつての角川の人気若手だったが、渋い中年脇役になった。
かっこよさより演技に味を感じる。
とにかくアンバランスなままにアンバランスな結末を迎える」。

93 敵こそ我が友

2008
監督 ケビンマクドナルド
ドキュメンタリー

リヨンの虐殺者、ナチの大物クラウスバルビーのドキュメンタリーである。

リヨンの虐殺の真実、逃亡
アメリカに利用されるエージェントとして生き延びたこと
さらに第四帝国を目指し、ボリビアの軍事政権に接近したこと
チェゲバラにかかわるクラウスアルトマン

戦後のナチの裏世界を見事にまとめて描いている。
ドキュメンタリーとしての出来はいい。

娘を登場させたり、当時の被害者を登場させたり
ネタもいくつかだかえている。

事実は小説より奇なりとは言うが
そのままを描いただけでこれほどドラマチックな物語はないだろう。



92 西の魔女が死んだ

2007
監督 長崎俊一
出演 サチパーカー 高橋真悠 木村祐一 高橋克実 りょう

とにかく画面の綺麗な映画だ。
清里や高原の画像は圧巻である。
見るものを緑の世界に引きずりこむ。

緑と自然と動物の物語
でも中身は深い。

サチパーカーでしか演じ得ない「おばあちゃん」
高橋真悠も新鮮な子役だ。

その高原の休日的な物語の向こうで
木村祐一が現実を語っていく。

「上の外人の孫や 登校拒否でここに来ている」
桃源郷に放たれる現実・・・

木村祐一が一番光っているのでは
高橋克実は 道化師が似合う。

91 アルゼンチンババア
2007
監督 長尾直志
出演 堀北真紀 役所広司 森下愛子 鈴木京香 きたろう

かなりの傑作になるだろうと思っていたが、やはり無理がある。

堀北真紀は、等身大の女性を演ずると光る。観客を物語の視点に引きずるこむ。
役所広司も、不思議な男を好演している。
岸辺一徳の、若い女性と浮気をしているうなぎ屋は滑稽である。
森下愛子も久々にらしさを出している。

パーツはみんないい。ストーリーも奇抜
でもポイントの「アルゼンチンババア」
やはり鈴木京香では演じきれない・

ラストの展開も海中シーンも、よめるし、つまらない。
うーん というところである。

90 ストロベリーショートケイクス


2007
監督 矢崎仁志
出演 池脇千鶴 中越典子 中村優子

大きなポイントは 中村優子だろう
この女優さんは 血と骨 以来注目している。
木村多江に続く 不思議な魅力の女優さんだと思う。
風貌以上に ひきつける魅力がある。

映画はありふれた4つのストーリが続いていく。
池脇千鶴の普通の女性の物語を軸に動いていく。
安藤政信 加瀬亮 男優も いい味をだしている。
特に中華料理店がいい。

そしてラストの富山の遊園地の風景が すばらしい。
ほっとする映画でもある

89 松ヶ根乱射事件


2007 監督 山下敦弘
出演 木村祐一 山中崇 新井浩文 三浦友和 キムラ緑子

冒頭の全裸死体 男なのか女なのか?
でもそれがキーワード!
川越美和の体当たりの演技には驚いた!
すごくシュールである。
木村祐一との不思議なカップルは面白い!

登場人物はみな印象的だ
榎木兵衛の祖父 キムラ緑子の母
なんといっても自己矛盾しながら弁舌鮮やかな
三浦友和の父・・・
この人はこういう映画だといい味を出す。

姉の西尾まりはエキセントリックで
その旦那役の中村監督が 不思議な存在で
もちろん双子の兄弟も面白い・・・
  
八ヶ岳と 原、富士見の風景も美しい
意外にいい映画である。

88 ヴィヨンの妻


2009 監督 根岸吉太郎
出演 松たか子 浅野忠信 堤進一 妻夫木聡 広末涼子

根岸吉太郎といえば、映画「春雷」を見て強烈な印象を受けた監督である。性描写を官能的に
描くうまさはひかっていた。
久しぶりに根岸作品を見たが、やはりそのあたりは卓越している。

作りはスローで丁寧である。
出来上がった画面が評価の高い部分であろうが、一方で少したるくも感じる。
脚本的にはもう一ひねりがほしいような気がする。
ラストにアッというものがあってもいいのでは。

汽車のシーンでも、画面に架線も見えるような荒いつくりの作品と違って丁寧に仕上げてい
る。

女優・松たか子の色をうまく出している。
さらに居酒屋の夫婦、室井滋と伊武雅刀がうまい。
この居酒屋が映画の大きな軸となって広がっていく。

オスカー女優広末涼子、今一番のっている3男優浅野、堤、妻夫木 3枚そろえれば もちろ
んいい映画はできるはずである。
恵まれた映画だと思う。

87 虹の女神

2006
監督 熊沢尚人
出演 市原隼人 上野樹里 相田翔子 酒井若菜 小日向文世

岩井俊二ワールドである。
大学時代の回想シーンが中心であるが切ない。

純愛もの 死んでしまった彼女へのアイソロジー
物語の流れは、泣かせるラブストーリ

市原はウォーターボーイズ ルーキーズ と個性的なカラーを見せる
若くていきのいい いい俳優だ。
フラガールの上野樹里
不思議な魅力のある女優

さらに2本のサイドストーリー
障害者を演んじる 蒼井優
34歳なのに26歳とうそぶって市原と交際する相田翔子

どちらも考えさせられるが
とにかく物語は切ない

不思議な虹 そんな映画である

86 修羅の女たち

2008 監督 辻裕之
出演 川村ひかる 本宮泰風 小沢仁志 江原シュウ 大西武志 森羅万象

1時間半程度の作品、ありきたりのやくざ姉御物だが、あんがい面白い
出来だ。

川村ひかるの刺青で、注目を浴びていたが、江原シュウの演じる「糸満」が何ともいえない
成田の弟分であり、ホモであり、力強くもあり、こっけいだ。
川村も大きな男たちの間に入ってコケティッシュであるし。
本宮の成田はあくまでかっこいい。

兄貴の骨を食べるシーン
シャブ中で堕ちていく平本(大西武志)など

それなりの時間をいただける作品だ


85 俺は君のために死にいく

2007 監督 新城卓
出演 岸惠子 徳重聡 窪塚俊介 前川泰之 蓮ハルク 石橋連司
伊武雅刀 的場浩司

石原慎太郎総指揮 東映 岡田裕介プロデュース 石原プロの徳重主演
と 東映の戦争映画である。

スケールはあっても、戦争物としても人間物としても中途半端
岸惠子のトメだけがひかっている。70うん歳とは思えない演技は驚き!

こうやってみると徳重はまだまだという感じだ。
筒井道隆が田端をきちんと演じ、脇の指揮官役の 勝野洋 遠藤憲一がしっかり味を出してい
るが

女性陣では多部美華子、中越典子だが、華はないが最近の中越のいいポジションには驚く。

関大尉役の的場 シーンは短いが
ただ 関大尉の特攻シーンで使われる映像は沖縄戦・・・
うーんこの程度のレベルなのか?
蒸気機関車にも当時ありえない鉄道装置が
丁寧さが足りない。


84 グラントリノ

2009 監督主演 クリントイーストウッド
出演 ビーヴァン アニーリー クリストファーローリー ブライアンヘイリー

俳優クリントの最終作 朝鮮戦争帰りのコワルスキーを通して、外国人のあふれたデトロイトの
街でのエピソード
モン族の家族との物語を軸に展開していく。

テーマは反戦、人種問題、孤立する親、社会適応の問題など、どれも思い。
「本当の身内よりこういう連中のほうがいい」
は現代の老人問題をうまく言い表している。

タオ族の姉弟 ビーヴァン アニーリー は演劇を多少学んだ程度らしいがクリントはうまく使っ
ている。
あと目を引くのは神父役のクリストファーローリー

ストーリーの展開は読める。前半はクリントのアカデミー作 ミリオンダラーベービー であり 
後半は復讐劇・・・
名車グランドトリノが映画を引き立たせる

83 最高の人生の見つけ方


2008 監督 ロブライナー
出演 ジャックニコルソン モーガンフリーマン ショーンヘイズ

この映画の面白さはまさに二人の名優の競演だろう
豪快に生きてきた男 ジャックニコルソンと 家族に愛された男
モーガンフリーマン の 余命を宣告された男たちの最後の数ヶ月と冒険
バンケットリストに載った項目を消して行く旅
「最高の笑い」「荘厳な風景」
「最高の美人にキスをする」にはホッとする。

人生や家族の意味をじっくり考えさせる1時半ながら中身の濃い作品

両俳優を批評する言葉もない。
どちらもすばらしい。
ニヤニヤしなが見ていく中でホッと考えさせられる。

トマスの ショーンヘイズのコメディチックな演技がいい

82 虹の女神

2006
監督 熊沢尚人
出演 市原隼人 上野樹里 相田翔子 酒井若菜 小日向文世

岩井俊二ワールドである。
大学時代の回想シーンが中心であるが切ない。

純愛もの 死んでしまった彼女へのアイソロジー
物語の流れは、泣かせるラブストーリ

市原はウォーターボーイズ ルーキーズ と個性的なカラーを見せる
若くていきのいい いい俳優だ。
フラガールの上野樹里
不思議な魅力のある女優

さらに2本のサイドストーリー
障害者を演んじる 蒼井優
34歳なのに26歳とうそぶって市原と交際する相田翔子

どちらも考えさせられるが
とにかく物語は切ない

不思議な虹 そんな映画である。 



81  20世紀少年 最終章

2009
監督 堤幸彦
出演者 唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 平愛梨 香川照之 石塚英彦
宮迫博之 佐々木蔵之助

人気漫画を映画化の3部作の最終章である。
昭和テイストをいっぱい使った作品 けろよん ばははーい スーダラ
やん坊まー坊・・・ 懐かしい言葉が並ぶ

今日本映画界でのっている4人
唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 4枚使っての作品である
映像やCGにもお金をかけている。
できのいい作品だ。

脇ではヤン坊マー坊の佐野史郎が目に付く
ベーシストの高橋ユキヒロも 昭和テイストでいい味を出す
さらに婆役の研ナオコ マルオの石塚英彦など 個性的だ。

コンサートのシーンは豪華な観客だがベテラン左右田一平が光っている

できのいい作品だが
映画の意味を考えてみると うーんと思うところがある
この映画何を訴えたいのか?

さらに少し飛びすぎである・・・


80 まぼろしの邪馬台国

2008 
監督 堤幸彦
出演 竹中直人 吉永小百合 大杉漣 江守徹 窪塚洋介 柳原加奈子
石橋連司 宮崎香漣 麻生裕未

昭和の怪人 宮崎康平を描いた作品
日本の風景を丁寧にとり、かなり安らぎを感じさせる夫婦物語
「まぼろしの邪馬台国論争」という地味なテーマながら、それなりにひきつける内容を並べて苦
心して仕上げてある。

最近の作品に言えるものだが、吉永と子供のショットはやはりきつい。
吉永小百合は50代の女性としては最高の味を出すのだが・・・
竹中の演技はオーバー 脇やコメディでは抜群に光るが 正統映画だと?
久々の窪塚もいまひとつ
光っているのは柳原加奈子 新しい個性と味だ。
大杉・江守。石橋とベテランはうまい。

宮崎康平の孫 香漣も登場している

79 剱岳 点の記

2009
監督 木村大作
出演 香川照之 浅野忠信 モロ師岡 仲村トオル 笹野高史 仁科貴
蛍雪次郎 夏八木勲

点の記 明治時代の測量士たちと剣岳登頂への挑戦を描いた地味な作品だ。
しかしやはり木村大作のカメラワークはすばらしい。
映画を画としてみた場合、視点・構成ともうーんとうならせるショット
がいくつもある。
CGのない世界 活動屋が撮るリアルな自然の迫力は見事である。

モロ師岡がいつも画面の一角を占める。
フィルムになるといつも輝く人である。
香川照之が芝居をしめてゆく。
仁科貴 蟹江 松田の二世3人
やはり父まではまだ遠い

個性派蛍雪次郎
測量クルーメンバーは不思議な味だ。

ストーリー的にはこんなものか?
山岳会との絡みは、あまりうまく、はまっていない

もう少し泣かせる部分は作れるのではと思ったが


78 60歳のラブレター

2009 監督 深川栄洋
出演 中村雅俊 原田美枝子 石黒賢 綾戸智恵 イッセー尾形 戸田恵子

3組のアラシックスの恋の物語。
脚本はいまや光っている古沢良太、面白く泣かせるストーリーだろうと期待した。
3つの物語は独立しており3本の映画を見ているような感じである。
井上順と戸田恵子の物語がちょっと上質のミューージカルのような感じで面白い。
ともに仕事に一筋で何かをなくしているタイプ
娘役の金澤美穂が小憎らしいほど好演だ
イッセー尾形と綾戸智恵の物語はリアルで泣かせる。芸達者なイッセーとの組み合わせだが
綾戸は自然に合わせてしまってよりリアルになっている。
これには驚いた。才能なのだろう。
中村雅俊と原田美枝子の物語はちょっとつくりがオーバーすぎる。
頭の原沙知恵の登場は期待させるものがあったが
幸せのハンカチや北の国からのパロを入れるぐらいならもう少し複雑な心情を掘り起こしても
いいのではと思う
青春もので理事長と先生だった佐藤慶と中村の対決シーンは得した気分だ。
3本のうち2本満足と言う感じだ。

77 レッドクリフ

2008 監督 ジョンウー
出演 トニーレオン 金城武 リンチーリン ヴィッキーチャオ ヨウウン チャンフォンイー サ
ンジンシェン

パートUも含めた作品だが 2本に分けて公開されている。
ジョンウーが私財をなげうって作った作品 金がかかっているだけに迫力十分だ

CGや最新映像 映像技術の向上で リアルな赤壁の戦いが表現された
時には忠実に時には芸術的に この2000年前の紀元の時代の様子が表現される。

トニーレオンはさすがにスターである。周愉 という参謀を見事に演じている。
それ以上にいいのが金城武
日本のトレンディドラマにでずにこういう実力をつけた。
知的な孔明をじっくりと見せる

ヴィッキーチャオは小悪魔的で本当に魅力的だ。リーチンリンはあくまで美しく この2女優がさ
える。

帳飛 サンジンシェン がユ二ークで ひかれる!

76 ぐるりのこと

2008 監督 橋口亮輔
出演 木村多江 リリーフランキー 倍賞美津子 寺田農 寺島進
斉藤洋介 柄本明 加瀬亮

法廷作家の夫婦の生活に、最近の大事件の法廷風景を含めて描いた作品
とにかくストーリーに波がない。
淡々と進んでいく展開
ちょっと単調のようにも思える

最近の大事件を模写した法廷のシーンは面白い
幼児犯の加瀬亮 新井浩文は短い時間で イメージを爆発させる

不思議な癒し系 どこにでもいそうな 木村多江の静かな演技
さらに新人とは思えないリリーフランキーの好演

法廷画家を演じる寺田農・斉藤洋介も達者だ

しいていうなら もう少しドラマチックであっていい
画面はきれいだ・

75 クライマーズハイ
 監督 原田真人
出演 堤真一 堺正人 尾野真千子 山崎努 マギー 堀部圭介 村岡希美 中村育三 蛍 
雪次郎

堤真一が出てくると安心できるほど最近はいい作品に出ている。
日航機墜落のときの群馬の新聞社 この新聞社という世界を見事に物語にしている。

一面の争い ネタのすっぱ抜き 一刻を争う印刷
あくまでリアルに表現する

角度を急に変える原田スタイルのカメラワークは面白い
ストーリーもひきつけられる。

山崎努が出てくるとやはり山崎ワールドになる。
目に焼きつく演技・・リアルすぎるいやらしさ

さらに 尾野真千子が新鮮だ。着実に進んでいる女優だ
あとはもう 演技のぶつかり合いである

マギー 中村 蛍 劇団で鍛えた俳優人がぶつかって演技をしている
そして でんでんも・・・

新聞を買う母親 の村岡希美 が光る
この人は どんどんメジャーになるだろう


74 アキレスと亀


2008年 監督 北野武
出演 ビートタケシ 柳ゆーれい 樋口可南子 徳永えり 麻生久美子

武映画 であるが なんとも理解しがたい映画だ。

映画の中で使われる画 と久石譲の音楽は相変わらずいい
しかしストーリが奇抜で、シーンは暴力・エゴ的

車でキャンバスにぶつかるシーン から 死んだ娘に落書きするシーン
最後のやけどを負うシーンまで かなり きつい
狂喜が満ち溢れて画面を圧倒している。
これで賞取りとはちょっときつい

憂怜と麻生久美子の若き日のシーンは魅力的だが
もう一つ押してくるものもない。

樋口可南子はしっかりと演じ、画面をしめているし、フラガールの徳永えりも魅力的 菊次郎で
は快演した麿赤児の息子 大森南朋もいい味が出ている。林田麻里のヌードにはタケシ流の
味を感じる。

しかし最後まで見終わって でなんだ? と自問してしまう
ちょっとむずかしい 映画である。


73 おくりびと

2008年 監督 滝田洋二郎
出演 本木雅弘 広末涼子 余貴美子 山崎努 笹野高史 峰岸徹

アカデミー賞外国作品賞を獲ってブレイクしている映画だ。

テーマは暗いが
確かに上品な出来の作品である。

納棺夫日記の映画化なのだが、原作者のこだわり、富山を舞台にするとか
第二章を軸にするとか・・で対立し、原作者のテロップはどこにも出てこない。
でも受賞は原作者も喜んでいるという。

とにかく月山と山形を美しくカメラが捕らえる
圧倒的な山崎努の存在感とその円熟した演技
さらに乗っている笹野高史の器用な演技
特に火葬場のシーンではあっといわせる

杉本哲太もいい 余はあれだけの台詞で一人の女性のすべてを語る
泣かせる山田辰夫 そして父役の峰岸徹のラスト演技
途中では死んだおばあちゃんの顔に落書きをする林田麻里に笑わされる

もっ君の執念の映画だと聞く。
すべてに難がない映画である。
落ちはなんとなく見える展開だが・・・・


72 インディージョーンズ クリスタルスカルの王国


2008 
監督 スチーブンスピルバーク
出演 ハリソンフォード シャイアラブーフ カレンアレン ジョンハート レイウィンストン ケイト
ブランシェット

19年ぶりの新作。今回は最も乗っている女優 ケイトブランシェットを加えての作品。期待に胸
が膨らむ。
ケイトのソ連女性将校役、さすがにりりしくクールだ。
副官のイコールジジキンとともに憎らしいほど好演だ。
ソ連、核実験といったその頃の時事問題、さらにインカの探検とストーリーの軸は面白い。
無駄がなくそれぞれのシーンがスリル満点でまったく厭きさせない。
よくここまで作り上げれるものだと感心させられる
息の抜けない映画だ。

まさに相変わらず楽しめる映画である。
ヘンリーのシャイアラブーフは新鮮、インディー博士も老けたもののまだまだ




71 伊藤の話


2008 
監督 秋原正俊
出演 温水洋一 田丸麻紀 加藤夏希 烏丸せつこ 江口のりこ 

小泉八雲の怪談をどう展開するかで期待して見た。
八戸やその周辺の風景を奇麗にカメラワークしていた


温水と田丸の凸凹カップルも面白いし、加藤夏希も妖艶だ。
映画としては、いい素材はいっぱいあるのに

ストーリーがよくわからない。さらにラストもこれといった感動なくプツンと切れてしまう。トータル
に見て何の感動もない。


評価はそんなところか? 八戸大のCM映画のようだ。
スタッフの満足感はあろうが、温水の演技も沈んでしまう。




70 第二回 「三重で勝手に映画祭・みずっち映画賞」

(今回より勝手に「三重で勝手に映画祭・みずっち映画賞」と改名します)

たけしの東スポ映画祭以上の勝手もんですが
映画を今まで見てきた目で 選んでいます
選ばれた人に 本当に迷惑かとは思いますが 今年はこう決めました

最優秀作品賞
「もがりの森」
河瀬直美のカメラワークは半端じゃないですね。
映画の一シーンを画にしてしまっている。黒沢明以上にこだわりがあってで、それが映画の面
白さを壊しているけれど、映画は映像の画なんですから。画としては一級品、世界にも誇れま


最優秀主演男優賞
「藤田まこと」 
もう芸という点では誰もかなわない。竹中直人は軽妙でうまいけれど、間と、見ている側の引き
込みでは勝てないですね。こんな重い作品。しっかりと見させてもらえる。さすが実力派

最優秀主演女優賞
「吉永小百合」
やはり、誰も越えられない存在感、それ以上のコメントは控えます

最優秀助演男優賞
「大村波彦・山中篤志」
二丁目の朝日がしっかり出来上がっていた。その中で傷痍軍人とおかまの2人。短い演技だ
が ともに演技が刺激的である。
技量は元々2人ともあるので、一つの場面をこなせるのはあたりまえだけれど、この映画、い
ろんな意味で ないて笑いました。
あっぱれです。

最優秀助演女優賞
「仁科亜希子」
ブランクはあったけれど、やはりこの人はすごい と思いました
映画の中での存在感、この映画を押し上げていく技量、器の大きさを感じました

最優秀新人賞
「うえだしげき、谷桃子」
うえだしげきは、素晴しい、本当に沈んでいた原石だと思う。
この映画の感動のポイントが彼の表情と個性である。

さらに華として、谷桃子のフレッシュな新鮮さ!アイドルは棒読みで沈むけれど、そうならない
可能性を感じた。

今年もまだまだ見ていますが、全部見終わるまで頑張ります!

(参考) 第一回みずっち映画賞

最優秀作品賞 「それでもぼくはやっていいない」
最優秀主演男優賞 「加瀬亮」 (それでも僕は)
最優秀主演女優賞 「富司純子」(犬神家の一族)
最優秀助演男優賞「尾崎英二郎」(硫黄島からの手紙)
最優秀助演女優賞「菊池凛子」 (バベル)
最優秀新人賞  「中村ゆり」 (パッチギ2)
        「ゾマホン」 (監督バンザイ)

69 アメリカドラマ HEROS シーズン2 


このシリーズ、怪力とか時空超越とかコピー機能とか、卓越した能力を持つようになった人たち
のSFなのだが、その設定が面白く、さすがに人気が出るだけあってアメリカの人気ドラマとな
っている。

主役 といっても 役者のロールはアルファベット順なので 全員が主役である。

ペトレリ役のマイロ・ビンティミリア 
ロッキーファイナルでのロッキーJr役、期待の俳優である。さらに彼の実の恋人らしいヘイデ
ン・バネッテリア この人も可愛くて魅力的である。

さらに なんと言っても日本でも人気の マシ・オカとジェイムスキーソン・リー、 中村ヒロ?と
安藤雅端?の2人の東京の日本人の会話が面白い。

なお、このシーズン2ではさらに2人の日本人俳優が出ている 

不死身のケンセイがらみで、ヒロナカムラ(マシオカ)の恋人役の田村英理子のヤエコ
田村英理子は、あの一時期テレビに出ずっぱりのアイドル歌手である。
あの彼女が今はアメリカドラマに進出しているのである。
6話登場する。

もう一人はヒロ・ナカムラの父 カイト・ナカムラの若いときの役の尾崎英二郎
「映画 硫黄島からの手紙」では 西大佐の部下大久保中尉役を好演し
中盤を引っ張った。舞台「ウィンドオブゴッド」やNHKドラマにも出ていた役者である。

父の若いときの研究所のシーンで出てくる。
にこのシーンでの迫力ある動きが目に付く。
アダムモンロー役のデヴィッド・アンダースやビクトリアと激しく渡り合う、また「硫黄島」とは違っ
た演技である。

この作品は、ハリウッドストライキ の影響で、11話で終わってしまった。
もっと続けばカイトナカムラの出番ももっとあったのだろうが
(なんか日本の昼ドラにもあったなあ そんなのが!)

そしてこのカイトナカムラの現在があの「スタートレック」の名優ジョータケイ
この父と息子との物語がこのドラマの大きな位置を占めている。

新型ウィルスとはいまや人類の恐怖である。
それをタイムリーに扱ったドラマだ。

皆さんもぜひレンタルで借るといい ぞっとするものがある



68 みずっち映画賞


報知映画賞の投票が始まっている。これに投票するためにまとめているのだがその中で昨年
もHP上で「みずっち映画賞」を勝手に作って勝手に決めてみた。

いわば日本で一番権威はないけど、一番理屈にかなった映画賞である。

ライバルは たけしの東スポ映画賞・・・

さて今年もそろそろまとめ始めている



最優秀作品賞

「母べえ」と「崖の上のポニョ」ははずせないだろう。映画作りの丁寧さと言う点から行ったらど
ちらもすごい。ただ、母べえの配役設定、さらに「ポニョ」のはっきり読めるストーリー転換は
難!

この一本と言うことでは「もがりの森」これはなんともいえない映像芸
術だ。
カメラワーク、画としては最高レベルの作品 さすがに河瀬直美である。

続「三丁目の夕焼け」この作品もシリーズ化になりそうだ。高制作費のこの作品と低制作費の
「二丁目の朝日」はある意味で映画の2つの方向性を見せてくれた。どちらも好印象である。
「ヒカリサスボクノフネ」これも画面が本当に奇麗だ。

あとは「おくりびと」と「アキレスと亀」を見ようと思っている
「おくりびと」は評判がいい。



最優秀主演男優賞

明日の遺言の「藤田まこと」ベテランである。おくりびとの「本木雅弘」も作品に救われている。
まぼろしの邪馬台国の「竹中直人」さらに評価のいつも別れる「ビートたけし」このあたりではな
いだろうか
まぼろしの邪馬台国はまだ未公開であるが



最優秀主演女優賞

やはり、「吉永小百合」ははずせない。「母べえ」の演技にはもうこの人しかないものがある。主
演でしかでれない日本映画界NO1女優であろう。
若手では「尾野真千子」。クライマーハイはともかく、「もがりの森」の堂々とした熱演にはこれ
からの可能性を感じる。

「あさま山荘」の「坂井真紀」。この女優さんもテレビではなく映画で大きく伸びている
あとは「アキレス」の「樋口可南子」、たけしは、岸本加代子の次はこの女優を使ってきた。


最優秀助演男優賞


超ウルトラ8兄弟のウルトラマン「黒部進」、「結婚しようよ」の老夫婦の「松方弘樹」、三丁目の
夕焼けの憎い父親役の「小日向文世」とベテラン、それぞれの味を出しているし好演している

二丁目の朝日からは2人、傷痍軍人役の「大村波彦」、精ちゃん役の「山中篤志」この映画は
脇役で引っ張る映画なので、その軽妙な演技はひきつけられる。

「おくりびと」の故峰岸徹の最後の演技も見てみたい


最優秀助演女優賞


「結婚しようよ」で久々の登場の「真野響子」も新鮮だった。
同じく娘の「AYAKO」も面白い

「もがりの森」では主任役の「渡辺真紀子」が光っている。「母べえ」の「志田未来」も新鮮だ

さらに「ヒカリサスボクノフネ」の仁科亜希子も入れたい


最優秀新人賞


「もがりの森」主役の「うだしげき」初出演ながらすごい存在感だ。
もうこれしかないだろう。あとは「二丁目の朝日」の「谷桃子」
グラビアだけでなくけっこうできる。
「ヒカリサス」の「仁科仁美」もいい
さきほどの「AYAKO」さらに蛇にピアスの「吉高由美子」が有望だろう。

もう少し見てから決定したい!!


(参考) 第一回みずっち映画賞

最優秀作品賞 「それでもぼくはやっていいない」
最優秀主演男優賞 「加瀬亮」 (それでも僕は)
最優秀主演女優賞 「富司純子」(犬神家の一族)
最優秀助演男優賞「尾崎英二郎」(硫黄島からの手紙)
最優秀助演女優賞「菊池凛子」 (バベル)
最優秀新人賞  「中村ゆり」 (パッチギ2)
        「ゾマホン」 (監督バンザイ



66 ヒカリサス海 ボクノ船

2008年
監督 橋本直樹
出演 仁科仁美、仁科亜希子、仁科克基、六平直政、嘉数一正、松本まりか、小木茂光

思ったよりも出来がいい傑作である。
シュールでとにかく悲しい。姉菜々子と難病の弟の話、弟の死、両親の誤解というシンプルなス
トーリーが、奇麗な画面と印象的なサティの音楽に乗って進んでいく。
海のとらえ方は最高にいい。
海岸線の美しい情景

久々の仁科亜希子も好演だ。六平直正との夫婦は現実的でもあり、一方で悲しい、亜希子の
実の娘、仁科仁美は新人ながら熱演している。ヌードばかりが取り上げられるが、とにかく亜
希子とガチンコで渡り合う。

脇では子役の嘉数一正がいい。大切なシーンをうまく引っ張っていく。もちろん松本まりかの級
友役のさっぱりした演技も面白い。

ドラマの中に秘められたいくつかの道具がうまく開いていく。昔のATGタイプである。
ただセリフが聞きづらいのが難点である

65 崖の上のポニョ

2008年
監督 宮崎駿
声の出演 奈良柚莉愛、土井洋輝、山口智子、所ジョージ、長島一茂、天海祐希

人魚姫をベースにしているという作品、舞台はまさに瀬戸内である。
海と街と森が隣接する瀬戸内の入り江。そこで展開する人魚姫の話。海は汚く、ごみが流れ
る。さらに海水面の上昇と環境問題を全面的に感じさせる
主人公の母を介護施設の職員として、老人たちを登場させている。
この3人の設定がいい。それを奈良岡、左、吉行といったベテラン俳優が声を当てている
日本中のどこにでもある風景の中で、このポニョの物語が展開されていく
しいて言えば、少し短く、ラストの設定はありきたりで、ぶちっと切れてしまう感じだ。
ジブリとしてはロマンチックさが薄くなりリアリティーが増した感じである。その分感動は薄くなる
さらにデイサービスセンターに並ぶ車椅子の列と併設されている保育園。帰ってこない船乗り
の父。すべてがあまり映画では取り上げられないリアリティーである
船の通る踏切がいい、今治の「船が通ると締まる遮断機」を逆にした発想だろうが、この映画
の中での大きな武器である。

64  ライオンフォアシープス(大いなる陰謀)

2008
監督主演 ロバートレッドフォード
出演 ロバートレッドフォード・メリルストリープ・トムクルーズ
マイケルペーニャ・デレクルーク・アンドリューガーフィールド・ピーターバーク

1時間半の短い作品であるが、その中に風刺がいっぱいである。
ストーリーは、大統領候補とベテラン女性記者の会話、大学教授と教え子の会話の中にその
教え子が希望して軍隊に行きアフガンで戦死する話を織り込んでいる。
内容的には暗い。その中に今のアメリカの抱える問題が並ぶ。戦争のおろかさ、むなしさが
切々と感じられる。

メリルストリープの美人記者がいい。中佐役のピーターバークも渋い。マイケルペーニャはもう
売れっこだ。
主人公になるマイケルペーニャとデレクルークのコンビがアフガンの戦場でタリバンと戦う。衝
撃的なラスト。日常の向こうにあるアフガン。
その物語を、大学教授も大統領候補もそして戦場で指揮する中佐も冷静に見ている。

うーんと考えさせられるがラストシーンはあっけない。
もっと語ることがあるのでは??


63 ノーカントリー

2007
監督 コーエン兄弟
出演 トミーリージョーンズ、ハビエルバルデム、ジョシュブロークス、ケリーマクドナルド

アカデミー作品賞受賞作。映画の持つ緊迫感はすごい。さらにここのシーンのカメラワークもい
い。画面を静止させるとかなり決まったショットになる、作りが細かいのだろう。

驚くのは殺人鬼シガー、ハビエルバルデムの殺人器具のボンベとその容貌、このスペイン人
の俳優でしか、この役はこなせないだろう。まさに衝撃である。助演賞は当然だろう。

主人公は老保安官、おなじみのトミーリージョーンズである。
しかし誰が主役なのかわからない映画である。むしろ前半は、シガーに追われるモス(ジョシュ
ブロークス)の物語として進んでいく。
南部の荒れた風景、砂漠、そしてメキシコ,物語はどんどん恐怖に近づいていく。
ただラストシーンには少し唖然とさせられる。

音楽のない映画である。その分だけ緊迫感が高まる。

62  結婚しようよ

2008
監督 佐々部清
出演 三宅裕司、真野響子、松方弘樹、中ノ森BAND,岩城晃一、波田陽区、藤沢恵麻、
金井勇太 

吉田拓郎の歌をふんだんに使った、上質のコメディーで、オーバー50にはたまらない内容だ
ろう。

見終わって納得して帰る〜三宅裕司のサラリーマンものの1作品である。
ストーリー展開は平凡で難がない。老夫婦の移住のシーンで、全メンバーをそろえたり、長女
の結婚式でハッピーエンドで終わる。ごく当たり前の作りの映画だけに、先が読めてしまい、も
う一つ満足できない。

演技陣では、久しぶりの真野響子は逆に新鮮である。
中の森BANDのメンバーの好演が光る。
特に次女のAYAKOは長女の藤沢恵麻も食ってしまっている。
明るい個性とオーバーな演技は魅力的だ。
脇を固めるベテランは器用にやっているが、安定しているが、その分面白みがない。

三宅サラリーマンもの これからも続くだろうが、庶民が安心して見られる映画ということでは、
薦められるだろうが

61  続ALLWAYS 三丁目の夕焼け

2008 
出演 吉岡秀隆、小雪、須賀健太、堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真紀、小日向文世、マギー、
温水洋一、もたいまさこ、吹石一恵、三浦友和

2作目であるが、寅さんのような安心感のある映画である。CGがよくできていて、情景設定は
最高である。
ストーリーは予想される展開なので、期待を裏切らない。
相変わらず、子役達が可愛くうまい。さらに、吉岡の茶川先生をはじめ、社長の堤真一、三浦
友和の医師など、キャラクターが安定してきている。
特に薬師丸のお母さんと、六ちゃんの堀北は絶妙のコンビネーションでこのシリーズを支えて
いる。

脇のキャラクターもさすがに二作目で落ち着いている。小日向、マギーと温水のご近所さん、さ
らにもたいまさこまで、うまく演じている

一作目の面白さを二作目についでこのままシリーズにでも持っていけそうだが、その分アピー
ルが弱くなる。茶川のストーリーもありきたりだ。
小雪はやはり昭和としては大きいので画面に入れるのには苦しいだろうし。

担任役の吹石一恵がいい味を出しているが・・


60 ALLDAYS 二丁目の朝日

2008 監督 村上賢司
出演 三浦涼平、谷桃子、中原和宏、竹下宏太郎、山中篤史、松田祥一、新井友香、中村栄
美子、外波山文明、大西武志、野口すみこ、西嶋一八、大村波彦、佐藤和津恵

撮影9日、CGもトップスターも使わない作品である。もちろんALLWAYSの
パロディだろうが、作り方はまったく違う。いわばまったく別の映画と考えた方がいい。
二丁目の不思議な世界と、泥臭いリアリティーのある登場人物たち、そしてまるで小劇場を見
ているようなストーリーのつくりである。
なける部分も笑える部分もあえる。

真平、三浦涼平の女装はまるでかつての純アリスを見るように美しい。彼とさと子の谷桃子、さ
らにひろしの松田祥一は新鮮だ。
その脇を中堅ベテランがうまく固めていく。アイパッチの竹下宏太郎は好演だ。
さらに座長の中原和宏も説得力がある。精ちゃん(山中篤史)はもう泣けて笑える。五郎(大西
武志)とのコラボは最高だ。
脇はみんな達者だ。外波山文明はリアルそのままである。

リアルといえばセットや舞台もかなりリアルであり、逆に作られてないよさがある。
しいていえば、もう少し長くもう少し深く描いてもいいような気がした。
ラストは余韻があるがまだ繋がりそうだ。

戦傷軍人の大村波彦がアクセントをつける。人間の表と裏が見えて面白い

59 ゲゲゲの鬼太郎

2007
出演 ウエンツ瑛士、田中麗奈、間寛平、西田敏行、大泉洋、田の中勇、室井滋

実写の鬼太郎がどれほどのものになるのか?
これまでのマンガの実写版はマンガ自体がより非現実であるほど、厳しいものがあった。
でも昨今のコンピューターCGの技術向上はこの溝を埋めた。
21世紀だからこそ、こういう作品も、きわめて見事な映画にできるものである。

妖怪と人間というギャップをCGがうまく埋めていく。
目玉オヤジも違和感なく演技していく。

小雪、獅堂、西田敏行、室井に間、まあ人気者をよく並べているのでそれなりに飽きない。
ぬりかべの伊集院光、一反もめんの柳沢慎吾(声のみ)まで、細かくキャスティングしている。
その中で田中麗奈が独特の個性で魅力的で光っている。
もちろん西田も出ているが、これはトーマスでも引っ張ったキャラなのだろうか?

見ていてあきないいい娯楽作品だろう。シリーズに期待したい。


58 地下鉄に乗って

2007 監督 篠原哲雄
出演 堤真一 大沢たかお 常盤貴子 笹野高史 吉行和子 岡本舞

浅田次郎の原作自体が奇抜で面白いので、あとはどう持っていくかである。
4人の中心的な俳優はみな好演している。
さらに脇に、笹野高史、吉行和子ら芸達者を並べている。これでは、出来はよくなるに決まって
いる。

堤真一はいまや日本映画の顔だ。大沢たかおも表情が豊かでいい。荒いイメージのアムール
をうまく演じている。常盤貴子は、「赤いコーリャン」といいどうも出す映画がブレイクしないが、
今回はなかなかのはまり役だ。
女の強さと弱さを演じ分けている。

さらにいいのが岡本舞、設定のむづかしいみち子を、その独特の雰囲気で一つの世界にして
あらわしていく。
この人に、これだけのものがあったのかと驚かされる。
田中麗奈とともに、必ず日本映画の新しい映画の方向を作っていくと思われる。しかし、今現
在引退とは残念だ。

見終わったあとに何かが残る映画だ。

57 ふぞろいの秘密

2007 監督 石原真理子
出演 後藤理沙 石原真理子 安達有里 梨本勝 小西博之 河合龍之介

興味本位で見てみたが、はっきりいって趣旨がよくわからない。
石原真理子の実話体験だが、画面は美しく撮っているものの全体に押してくるものが何もな
い。

ストーリーも不完全で、見終わってただ洋二のDVのイメージだけが残る。
マリコ役の後藤理沙は美形だが、肝心の演技はさっぱりという感じだ。この女優に監督は指示
を出しているのだろうか。重要なシーンでもアピールしてくるものがない。
ただ、小西博之の演技力と、安達有里、梨本勝のリアリティさだけが目立つ。

話題性が合っただけにもう少しつくりを考えた方がよかったのではと思う。
映画は総合芸術であり、話題だけでは映画はできない


56 殯(もがり)の森

008 監督 河瀬直美
出演 うだしげき 尾野真千子 渡辺真紀子 ますだかなこ

河瀬監督の緑のとらえ方がいい。構図の美しさ、カメラワークの素晴しさ、光と影の使い方など
映像美学としてのレベルはすごい。さすがカンヌで評価されただけある。
多分こういうタイプの映画って言うのはあまりないしあまり一般受けしないだろう。奈良田原の
美しい茶畑には感動する。

ストーリー的には痴呆テーマ。グループホームの老人達が主人公である。
それがまったく自然な演技? 地でながれている。
セリフにも作られたものがなく、ナチュラルだ。

主人公のしげきを演じたうだしげき、これは素晴しい原石を発見したようなものだ。
文筆家らしいが、セリフや表現が自然だ。だからといって素人芝居にはなっていない。
妻の墓を探して山中をさすらうシーンでは加藤嘉あたりが演じるスタイルとはまた全然違った
表情を見せていく

尾野真千子もさすがに熱演だ。
テレビドラマとは違い演技が熱い。寺島しのぶをついでいけるような気がする。
女の情感と母性をうまく引き出している

主任役の渡辺真紀子の落ち着いた演技といい、見込んでいくと素晴しい作品に思える。

残念なのは息子をなくした真千子のストーリー展開にもう一工夫できるのではないかということ


55 アメリカンビューティ

000 監督 サムメンデス
出演 ケビンスペンシー、アネットベニング ソーラバーチ シーナスバーリ ウェスベントリー

壊れていくアメリカの中流家庭、物語の内容は悲惨だ。
憧れの象徴を紅いバラが、孤独感の象徴を白いごみが表わしている。
こっけいな人生喜劇なんだが、あくまで重い。
それを丁寧なカメラワークが押さえていく。さすがアカデミー作品といわせる出来ばえだ。

娘の友人を演じるシーナスヴァーリがなんとも魅力的だ。妻のアネットベニングのオーバーテン
ションな熱演、さらにケビンスペンシーがうまくしめていく。
猟奇的な隣人の大佐とヤクの売人もやっているその息子、不動産の王様など登場人物の設
定は奇抜だ。
ラストシーンがいいかどうかは賛否が分かれる


55 太陽

2006 監督 アレクサンドルルクーロフ
出演 イッセー尾形 佐野史郎 ロバートドーソン つじしんめい 六平直正 西沢利明
桃井かおり

イッセー尾形の一人芝居の集大成という感じだ。
さらに昭和天皇の描写はそっくりである。彼は皮肉たっぷりにリアルに演じていく。
佐野史郎とつじしんめいのお付の武官の2人がすごくいい。特につじしんめいの老齢のお付、
悲しくも滑稽である。この映画の一番の拾い物だ。
ただ映画としては、観客はこれを見てどう思うのだろうか?

似ている・・うまい と言う感動はあるも、ストーリー的にはちょっと寂しい。さらにカメラはうまく
動いているが暗い。
天皇の口を動かす仕草はちょっとオーバーであるし・・
皇后の桃井かおりの登場シーンもほんの少しで、天皇夫妻の感情の流れの部分が読めない。

20世紀の指導者4部作の1つだが、評価は割れそうな映画である。

54 天然コケっこー

2007 監督 山下敦弘
出演 夏帆 岡田将生 柳英里沙 藤村聖子 斉藤暁 佐藤浩市 大内まり 夏川結衣 大沢

島根県の田舎の美しい情景とともにかなり奇麗なカメラワークが光る。
ストーリーは純朴で、ノスタルジー、それゆえに胸に来るものがある
海岸線、単線の線路、トンネル、村の緑の水田など色も鮮やかだ

純粋な高校生ラブストーリーである。
小中6人の複合校、それだけでもう面白い設定が考えられるのに
主人公夏帆は確かにキラキラ光っているし可能性を感じる。が、あとの二人の中学生役がは
っきりしない。
この辺は「ストロベリーフィールズ」のほうが上である
もう少しサイドストーリーで遊んでもいいのではと思う。
脇の面々、岡田の母役の大内まりは結構印象的で今までにないカラーを出している。
佐藤浩市と夏川結衣はさすがに着実にやっている。
ずらをつけた斉藤暁には思わず笑ってしまう。
ニャンコ役の大沢の表情が何ともいい。

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53 シークレットウィンドウ

2004 監督 デヴィッドコープ
出演 ジョニーディップ ジョンタトゥーロ ティモシーハットン
 マリアベロ

妻とその愛人を殺人する作家の物語である。
人格障害。多重人格が多く出てきて、とにかくストーリーがわかり分くい。
どれが現実でどれが物語なのか。
結末は2人を殺してしまうんだろうが。

盗作をしたと迫るシューターいうという登場人物については、結局、なんなのかいまひとつわか
らない。
元はスティーブンキングのサイコメトラーだが、映画としてはおもしろいとは思えない。

ジョニーディップの存在感とシューター役のジョン タトゥーロの重さがひかる。

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52  エリザベス ゴールデンエイジ

2007 監督 シュカールカブール
出演 ケイトブランシェット ジェフリーラッシュ クライブオーエン サマンサモートン 

1998年の「エリザベス」の続編である。
イギリス的大河ドラマ。
大きなスケールで歴史の流れを描いていく。
今回はメアリースチュアートの処刑、アマルダ海戦、さらに新世界の父ローリー卿とエリザベス
の関係を軸に進んでいく
とにかくエリザベス役のケイトブランシェットが、さすがアカデミー主演候補という落ち着いた権
威ある演技でひかっている。
映画自体も、舞台設定・時代考証もCGの力も借りてうまくできている。
しかし2時間弱ではあまりに盛りだくさんで細かいところは語れない。
もう少し、宮廷内の人間関係を細かく描けるはずだが、語りつくせない。さらに海戦シーンだけ
でもいろんなドラマがあろうが、理解できぬままスペインは敗戦する。
ローリー卿のクライブオーエンはかつて「アーサー王」も演じたが、あくまで魅力的である。ジェ
フリーラッシュが重臣フランシスを渋く演じる
侍女役のアビーコーニシューは新鮮でコケティッシュ、ここに「アラモ」の敵役だったスペイン王
役のジョルジュモリャとメアリー役のサマンサモートンの脇も好演で印象的だ。


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51 パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊

2003 監督 ゴアヴァービンスル  
出演 ジョニーディップ キーラナイトレイ ジェフリーラッシュ オーランドブルーム マッケンジ
ークルック ゾーイサルタナ

西部劇が消えた今、アメリカの時代劇になるだろう海賊もの、当たらないというジンクスをこえ
てシリーズヒットした作品である。
アクションの面白さと、ジョニー演ずるジャックスパロウ船長のキャラクターの面白さ。
二級品の時代劇のように爽快である。

映画は、その設定舞台の怖さというより、気持ちいいアクションもあり見終わってほっとする感
触である。

基本的には七人の侍や隠し砦の三悪人といった黒澤映画にも通じるストーリー展開である。

ウィルターナーはまさに勝四郎的だし、あのビンテルとラゲッティの2人の海賊は隠し砦のコン
ビ=スターウォーズのロボットコンビである。
とにかく2人の若者、キーラとブルームが美しいだけにひきつけられるものがある。
女海賊アナマリアを演じたゾーイサルダナが見ていて気持ちいい。


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50 シュガー&スパイス 〜風味絶佳
2006 監督 中江功
出演 柳楽優弥、沼尻エリカ、夏木マリ、大泉洋、高岡蒼祐、金田明夫、奥貫薫 

「誰も知らない」のカンヌ男優賞の柳楽優弥、パッチギの沼尻エリカという旬な2人の共演、い
かにも若者受けしそうな軽い純愛ラブストーリーの作品だが、最近の韓流タッチに近く、奇麗に
できているが,かといってひきつけられない。
夏木マリのグランマが最高の存在感。この不思議な登場人物が、基地の町のイメージを広げ
る。

大泉洋はいつもながら

主人公の二人はそれぞれの代表作品と比較してしまう。
柳楽は基地のフェンスでのシーンなどは、既存の俳優にない素晴しい表現力であり器の大きさ
を感じさせる。

あとはその他の部分である。もうすこしなんとかならないか?
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49 母べえ

2008 監督 山田洋次
出演 吉永小百合 檀れい 浅野忠信 笑福亭鶴瓶 坂東三津五郎 志田未来 でんでん

山田組作品、通行人から小道具に至るまでとにかく細かく丁寧に仕上げている。
ストーリーは泣かせパターン。今回もいくつもの悲話をつなげて戦争と言う大きなテーマをとら
えている。
主人公と子供達の設定だが、吉永小百合は確かに名女優であるが、実年齢より30ぐらい下
で、さすがに違和感がある。舞台ならまだしも、
大づくりな美人の、檀れいとの対比はすごく面白いが、浅野の山ちゃんの恋愛対象としてはき
つい。
思い切って檀を主人公にしても面白かったのでは?
シナリオ自体はストレートでわかりやすいが、逆に言えば先を読めてしまう。
映画の持つスリリングな部分がない。
しかし場面設定と画面だけで観客を泣かせていく。

浅野忠信は飄々として好演している。まさにこの映画で方向性をつかんでいる。
脇で出てくる笹野高史、神戸浩といった山田組常連はうまく画面を締めていく。
さらにでんでん、隣組の組長の小市民ぶりが小気味いい。
吹越、大滝秀治、鶴瓶 脇が確かにうまい
子役の2人の未来も熱演だ。

ラストシーンがいまひとつ つけ焼きのように思えるが。


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48 星になった少年

2006 監督 河毛俊作
出演 常盤貴子 倍賞美津子 高橋克実 柳楽優弥 蒼井優 武田鉄矢 

象になった少年 と改題した方がいい感じだ。
いい題材だがなぜか感動しない。音楽は坂本龍一、画面は美しいが、情景写真のようだ。カメ
ラワークにもう一工夫ほしい。

ストーリーは陳腐で浅い感じがする。主人公の内面心理を深く下げて、語らせないと、ひきつけ
られない。

常盤貴子がお母さんにしては画面上若すぎる。柳楽君との親子のイメージが出てこない。
これなら倍賞美津子にお母さんをやらせた方が と思うくらいだ。
カンヌで賞を取った柳楽優弥の二本目にしては彼をちょっと生かしきれていない。
救いは猿と象の動物たちの演技ができすぎなぐらいいいところだ。特に猿君は助演男優賞も
のだ。


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47 アビエイター

2004 監督 マーチンスコセッシ
出演 レオナルドデカプリオ、ケイトブランシェット、ケイトベッキンセル、アレックボードウィン、
アランアルダ、イランホルム、

実業家で飛行家のハワードヒューズと言う実在の大きな存在を描いた大伝記作品だ。浮名を
流したキャサリンヘップバーン。エバガードナーと言う実在の大女優を、この作品でアカデミー
助演賞のブランシェットと、パールハーバーのベッキンセルという2人のケイトが好演している。
さらに伝説の女優ジーンバローを歌手のグウェインステファニー色っぽく演じている。

ハワードの数奇な運命は、それだけでも興味をそそるが、作品は忠実に描いていく。
デカプリオもじっくりと演じていく。
ハリウッドへのこだわり、パンナム航空との競争、飛行機開発の格闘、マーキュリー号、そして
奇行、すべてが出来のよい小説のように流れていく。

部下のフライをヒューストンJrが、さらに宿敵パンナムをアレクボードウィンが、航空学教授をイ
ランホルムが堅実に演じている。

ひかるのはブリュースター議員、ベテランアランアルダがいやらしく狡猾に動く。

かなり面白い作品であるがエンドが不満!

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46 不都合な真実


2006 監督 デヴィスグッゲンハイム
出演 アルゴア

アルゴア前副大統領の「地球温暖化防止プレゼン」と言った内容だ。
すばらしいプレゼンである。
地球温暖化の現状、メカニズム、大作がわかりやすく説明されていく。
豊富な画像と、ユーモア、科学的データ どれをとっても素晴しくよく出来ている。

地球環境問題への警句、アメリカのエゴ、さらにアルゴアの人生までもが描かれていく。
人間が生きる意味とは?地球の未来? テーマはとてつもなく重い。

かなり勉強になるいい作品だ。
ただし映画というより、プレゼンとして価値があるのではないかと思った。

観客の感想もかなり好評ではあるが
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45 ビューティフルマインド

2002 監督 ロンハワード
出演 ラッセルクロウ、ジェニファーコネリー、エドハリス ポールベタニー  

実在するノーベル賞数学者ジョンナッシュの伝記的作品だが、ヒーローものとは程遠く、映画
の主題は統合失調症とかなり重い。

登場人物のバーチャーや、ルームメイトのチャールズが幻覚の中だけの人物だと言うことがわ
かるあたりから物語はかなり重くなる。
夫人役のジェニファーコネリーがアカデミーの助演女優賞を取っているが、この演技がなかな
かのものである。美しい上に頼もしい。

さらに実生活で彼女と結婚したポールベタニーのチャールズが軽快である。
ラッセルクロウの重々しい演技と対比してしまう。

この病気の重さだけが残る作品である。
統合失調症の理解のためにはいい作品と思える

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44 あなたを忘れない

2007 監督 花沢純次
出演 イテソン マーキー 金子貴俊 竹中直人 浜口順子 ルー大柴  

高田馬場の人命救助のあの事故を題材にした作品ということで、テーマがそれぞれの人生や
日韓問題に広がると思ったが、作りは韓流ラブロマンドラマである。なお、一般評は最悪という
ことだ。
このテーマなら、主題としてとらえるべきなのはあの犠牲となった2人の人生なのだが、もう一
人の日本人のカメラマンについては何も描かれていない。
さらにそのポイントの事故のシーンを、恋人のコンサートのシーンと重ねて、さらにありがちな、
あんちょこドラマの流れにしてしまっているので、見ていて辛い。
あそこでのユイの表情が一番のポイントとなるが、彼女は意味もなく笑っているのである。これ
で、映画がぶち壊されてしまう。
脇の竹中直人の気張りすぎもそうだが、イテソンも金子も心地よく演じているのに、ポイントとな
ってくるとマーキーが芝居になっていない。
相棒の浜口順子が達者に演じているだけに残念だ。

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43 バブルでGO

2007 監督 馬場康夫
出演 阿部寛、広末涼子、薬師丸ひろ子、ラモス、吹石一恵、飯島愛、劇団ひとり

「私をスキーに連れてって」のホイチョイプロの痛快なコメディー。
2007年からバブルの1990年に行ったら と言う物語。
大きな阿部と小さな広末の組み合わせが最高だ。広末涼子は岸本加代子を継げる。
さらに小技が憎い。1990年のラモス、飯島愛、飯島直子さらに八木亜希子まで登場させてみ
て、遊んでいる。
時代考証は正確、ディスコもうまく再現している。よきちょっと前の時代がなつかしい
記者役の吹石一恵が、不思議な存在感をもつ。大柄で大胆で、かつ90年的に美しい。
ストーリー展開はさておいてかなり楽しめる
加藤ミリヤのディスコに乗ってGO!


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42 ロードオブリング 王の帰還

2003 監督 ピータージャクソン
出演 イライジャウッド ショーンアスティーン イアンマッケラン ケイトブランシェット オーラン
ドブルーム バーナードヒル ウィゴモーテセン

3部作の最終章、これぞまさに大作である。
スケールの大きさ、映像展開、いくつものストーリー 3時間以上に渡る映画だが、迫力は満
点、スペクタクルファンタジーだ。
フロドのイライジャウッド サムのショーンアスティーンもさることながら、やはりカンダルフ役の
ベテラン・イアンマッケランが光る。
さらに、ゴラム(アンティサーキス)は滑稽で軽妙である。
セデオン王にはタイタニックの船長役のバーナードヒル、エルムのカンダルフにはアカデミー助
演女優賞のケイトブランシェット、と脇も揃えている。
ハビット、人間、エルム、オーク、この複雑な世界と、古代世界のような登場人物、オリファント
などの空想上の動物などなど、すべてが今の人間界を風刺しつつ一台抒情詩となって続いて
いく。
たっぷり作られた作品はまさにフルコースのようで映画の醍醐味を感じさせるが、中々一度で
は理解しがたい



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41 ミリオンダラーベイビー

004 監督出演 クリントイーストウッド
出演 ヒラリースワンク モーガンフリーマン マイケルペーニャ ジェイバイテェル ブライアン
オルク ルシアライカ

前半はロッキー、後半は尊厳死と言う映画である。
途中でスタンスが大きく変わりあっと思わせる。

マギーの冷酷な家族達の描き方が極端で、逆にそれがストーリーに深みを与えている。
ボクシングシーンはかなり正確でなく、前半のストーリーも安心してみてしまうところがみそかも
しれないしクリントの魔術かもしれない。
ショーシャンクの空のモーガンフリーマンが渋いいい味を出している。
ヒラリースワンクはさすがオスカー2度のいまや一番乗っている女優、マギーの生き方をうまく
出している。

デンジャーのジェイバイチェルは新鮮、さらに神父役のブライアンオルカがしめている。
圧巻は青熊の現役格闘家ルシアライカ、迫力満点である。
尊厳死の部分は賛否両論あろうが、直線になる心電図の絵とともにこの映画の生命なのかも
しれない

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40 クラッシュ

2005 監督 ポールハギス
出演 サンドラブロック ドンチードル マッチディモン ブレンダンブレイザー

追突事故をスタートに最後の雪まで、いくつかのストーリーを並べたLAの人間模様物語。主人
公のない映画である。
そのなかに人種問題、夫婦、親子、兄弟、社会問題などをちりばめている。
一見ではよくわからないだろう。
黒人刑事とスペイン系の恋人とその母、2人の白人刑事とその家族、泥棒2人組、錠前師の
親子とアラブ系の小売商の親子、検事夫妻、TV監督夫妻、これらが複雑に絡んでいく。
登場人物はオールスター
好感度NO1サンドラブロック、「ルアンダ」のドンチードル、マットディモン、「父親達の星条旗」の
ライアンフィリップ、「ハムナプトラ」のブレンダンブレイザー、「陽のあたる教室」のテレンスハワ
ード、Vベルドリッチが使っているタンディーニューマン、「ワールドトレードセンター」のマイケル
ペーニャ、と主役級がずらり
さらに「人気ラッパー」リュダイクス、世界の100美人のバハースメック、名脇役ウィリアムフィク
トナー、若手ラレンツライト、エスポジートからノーナゲイ。ショーントーブ、LOSTのダニエルデイ
キムまでよくぞ そろえたという感じ

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38 ディパーテッド

007 監督 マーチンスコセッシ

出演 レオナルドディカプリオ、マットディモン、ジャックニコルソン、マーチンシーン 

20007年のオスカー作品。マフィアから送り込まれたマットディモンのサリバンと警察から送り
込まれたデカプリオのコスティガン、この2人の警察官の複雑な運命が展開されていく。
さすがに人気スター2人の共演。
そのなかでマフィアのボスのコステロを演じるジャックニコルソンが圧倒的存在感を見せる。
脇に出ているディグナム役のマークウォルバークが斬れる演技を見せている。
この演技でアカデミー助演賞候補になった元歌手だ。
もちろんマーチンシーンのクイナン警部も渋いが
さらにマドリンのヴェラファミーガが知的で美しい。

マフィアとFBIと中国人と警察、その間で繰り広げられるストーリーの切り替えす展開はスリリン
グだが、ちょっとわかりづらいところもある。

全体としては十分考えさせられる重さのあるものは感じた。香港映画のリメイクだそうであるが
スコセッシのうまさにオスカー微笑んだのだろう。


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37 オーシャンズ12

2005 監督 スティーブンソンダーバンク

出演 ジョージクルーニー ブラッドピット マッドディモン アンディガルシア ジュリアロバーツ
 キャサリンゼタジョーンズ ドンチードル  ヴァンサンカッセル 

オーシャンズ11の続編、かつてのオーシャンと仲間達のリメイクだ。
泥棒ものとしては緊迫感があり、さらに小技も入りなかなか面白い。
それよりもオールスターキャスト、荒野の七人、タワーリングインフェルノの再来を思わせるハ
リウッドオールスター映画だ。

クルー二、ブラピ、マットといった当代のスターに今回は2人の女優が花を添える。
本人の偽者役のジュリアとブルースウイルス(本人役)のからみなどは笑ってしまう。
それでいて、脇の個性的な仲間達も見事に描かれている。
アフレック兄とカーン息子のモロイ兄弟、ナイトフォックスのバンサンカッセルなど
演技の軽妙さが笑いを誘う。

娯楽映画としてみれば傑作であろう

シャオクイーインの小柄な中国人が小気味いい。カールライナーの老詐欺師も初めてみる味
だ。




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36 愛しのファミーユ

2007 監修中島貞夫、大森一樹ほか KBS京都製作 

出演 島崎あゆみ、高野水月、阿部裕、大塚良重、桜井心平、有川博

KBS京都=大阪芸術大学 製作のKBSドラマシリーズの第五弾である。
KBS、TVK、三重テレビでしか見れない、まさにマイナー中の実験型超マイナードラマである
が、このシリーズはいつ見ても映画作りの基本を感じるものである。

画面の明るさ、色合い、丁寧なカメラワーク、素朴な演技、機械的な味のする大型映画やゴー
ルデンドラマとは違い、すべてが新鮮だ。
今回は阿部。大塚。有川という中堅ベテラン俳優を加えて、安心して見られる場を設定し鵜、
だれでもが楽しめるドラマになっている。

ベテラン有川博の元近鉄電車整備士というところも渋い配役だ。
主人公役の大阪芸大生たちもまさに原石といった感じである。
毎回磨かれていく。
画面の暗さ、カメラのぶれ、いろいろな難もあるが、画面上での正解はないのでどれも視聴者
の解釈次第である。
それよりも大阪近郊の普通の風景を見事に至上の舞台へと変えている。

さらに、イラストレーターの桜井心平が不思議な味を出している





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第一回 みずっち映画賞



年末なのでこんなものを考えてみました。毎年やって行こうと思います。

☆最優秀作品賞(邦画)
 続三丁目の夕日・大日本人・監督バンザイ・眉山・パッチギ2 いろいろあるけれど もうなん
といっても「それでもボクはやっていない」だと思う。
映画というよりそのストーリーの面白さとリアルさで他を圧倒している。
シリアスでスリリングでぞっとさせられる。

最優秀監督賞も周防正行監督


☆最優秀主演男優賞 
「硫黄島」の「渡辺謙」、「22歳の別れ」の筧利夫、のっている「眉山」の「大沢たかお」、愛ルケ
「トヨエツ」といるが、やはり「加瀬亮!」この一年の活躍は目を見張る。それでもボクは の主
人公は好演であるし硫黄島でも観客を引き寄せる。

日本で一番うまく使われている役者さんであるし今後の大きく活躍が期待される。

☆最優秀主演女優賞 
NANAの「栄倉奈々」、眉山の脂の乗った「松島菜々子」、22歳の別れの中堅「清水美沙」、
愛ルケの演技派である「寺島しのぶ」、監督バンザイの「岸本加代子」らまさにバラエティーに
富むが、やはり貫禄で「犬神家の一族」の「富司純子!
リメイク版の今までの高峰犬神家のイメージをガラッと変えた。

☆最優秀助演男優賞 
芸達者いっぱいである。「それでもボクは」の迷裁判官「正名僕蔵」とホモ受刑者「本田博太
郎」、武士の一分の「笹野高史」、さらに「監督バンザイ」で快演の井手らっきょと大ベテラン江
守徹、
特に江守の芸の幅には驚く。
パッチギ2のマネージャーを力演した「でんでん」 などもいるがも「硫黄島からの」の中盤を軽
妙に引っ張った大久保中尉役「尾崎英二郎」、
アメリカでの評価も出てきているし今後期待される。
 
☆最優秀助演女優賞 
「武士の一分」の桃井かおりもいいし、「犬神家の一族」の長女役の妖艶な奥菜恵、さらに「そ
れでもボクは」の唯一の目撃者役「唯野未保子」、パッチギ2のお母さん「キムラ緑子」といる
が、やはり世界的評価を得た沈黙の演技のバベルの「菊池凛子」 
セリフなしでアカデミー賞ノミネートは考えられない存在感だ。

☆最優秀新人賞 武士の一分の妻役をすがすがしく演じた元宝塚の大型女優「檀れ
い」、転校生の新鮮な演技の「蓮仏美佐子」、犬神家の一族の体当たり演技「松本美奈子」、
「それでも僕は」の存在感のない被害者役「柳生みゆ」、
やはりパッチギ2の「中村ゆり!」。
こんな素敵な女優さんがいたんだと再認識させられた。
もうひとり「監督バンザイ」の「ゾマホン!(現そのまんま東)」。1シーンの登場だが、七人の侍
の西村晃のように頭に焼き付いて離れない。

☆最優秀作品賞(洋画)
構成の素晴しさ、特撮、カメラワーク、音響効果、役者の演技の習熟度、
観客の感動度 すべてにおいて「硫黄島からの手紙!


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35 監督 ばんざい

2007 監督主演 北野武 出演 江守徹 岸本加代子 鈴木杏 井手らっきょ 松坂慶子 
内田有紀 木村佳乃 寺島進 吉行和子 藤田弓子 ゾマホン 

前半が映画のオムニバス、後半は高円寺親子を語り手としたごちゃ混ぜなストーリー、全体的
に見るとかなり不思議な映画である。
前半の、ミニ映画とその自己批判。
「小津物まね 定年」は折角、松坂慶子、木村佳乃を使っているのに、何も味がない。スリラー
の能楽堂、忍者もの、恋愛物もみんな映画の実験のようだ。
しいていえば「コールタールの力道山」が作品になれそうな感じではある。藤田弓子がいい。
しかしストーリーのある映画を見に来た観客はこれはなんだろうと思うだろう。
日本映画ミニ紹介とでも思うのだろうか?
後半はまさに寺山修司が入りフェリーニが入り難解である。
岸本・鈴木杏親子はまさにフェリー二的だ。
とにかく江守徹の怪演が光る。
この役者の技量の深さを感じる。
最後の井手らっきょの博士は「菊次郎の夏」以来の海外受けしそうな好演である。
たけし組はそれなりの仕事をやっており、ポイントではよく出来ているが全体ではてんで意味の
わからない評価の出来ない作品となっている。

川の中州のゾマホン、吉祥寺の父役の横山あきおが目に付いた。
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34 パッチギ2 ラブアンドピース

2007 監督 井筒和幸 出演 井坂俊哉 中村ゆり 西島英俊 でんでん ラサール石井 
風間杜夫 手塚里美 村田雄浩 キムラ緑子 木村祐一 藤井隆 

人気作品パッチギの第二作、在日テーマは変わらない。
しかし、前回の青春と人生の心地よいストーリーとは違い、今回はバラバラな3つのストーリが
並行して走っている状況だ
しかしう主人公の二人がひかっている。
アンソン役の元ジュピロの井坂俊哉はスケールの大きさを感じる。
アクションも出来て表現も豊かでこれからが期待できる新人だ。
中村ゆりはピュアで美しい。こういう役者さんが潜んでいたことが不思議だ。
ともに井筒マジックにかかって見事に演じきっている。今回は沼尻エリカよりも中村であたりだ
ったのかもしれないと思わせる。

さらに脇役はみんな光っている。
風間杜夫はもちろん、母役のキムラ緑子、マネージャー役のでんでんは、いい味の出た好演
だ。さらに番外俳優麿赤児が、大物俳優役とは面白い。
ラサールもいやらしい役をうまくこなしている。
村田雄浩、松尾貴史らが軽快に画面を作っていく。
ただストーリー的には3つの話、チャンスの病気、キョンジャの芸能界とラブストーリーさらにア
ンソンの物語はやはり陳腐な感じがする。それに戦争逸話を加えて暴力シーンで無理につな
げてある感じだ。
残念ながら前作ほど感動しない

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33 出口のない海

2006 監督 佐々部清
出演 市川海老蔵 伊勢谷友介 上野樹里 塩谷瞬 島尾康史 香川照之 田中実
古手川裕子

甲子園の優勝投手が志願して海軍の特攻魚雷艇回天に乗って事故死するという話である
操作が難しく、事故が多かった回天の史実に基づき、かつこのおろかな攻撃方法を批判した
作品である。
スター市川海老蔵のデビュー作で、なかなか新鮮だ。
特攻できない隊員、伊勢谷俊介も好演しているが、なんといっても艦長役の香川照之がいつも
ながらにうまい。
自己矛盾しながらの演技が光る。
ストーリーは無難、なかせる演出をしているが、もう一つ来るものがない。
ラストシーンも日本戦争映画のあるパターンで面白くない。
なお、元阪神投手の島尾康史も出ている

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32 それでも僕はやっていない

2006 監督 周防正行
出演 役所光司、加瀬亮、瀬戸朝香、小日向文世、正名僕蔵、柳生みゆ、もたいまさこ、山本
耕史

痴漢冤罪ものである。裁判の理不尽を正面から取らえ、日常生活のまぢかにある恐怖を
うまく表現した作品である。
たしかに物語としては面白い。法廷の表現も細かく、特に途中で交替する2人の裁判官の対比
が面白く、小日向文世、正名僕蔵の演技もすばらしい。
ありえる事件とありえる不幸を見るものに体感させる。それを加瀬亮が淡々と演じていく。
しかしいってしまえばこれをスクリーンで見なくても小劇場の舞台で見ても同じであろう。
あえて映画にまでせずに小劇場で全国公演のほうがヒットするだろう。動きのない画面と華が
ない。

ホモ囚人役の本田博太郎はまさに快演、目撃者の承認唯野未歩子、被害者の柳生未ユニは
不思議な魅力を感じる。

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31 ワールドトレードセンター

2006 監督 オリバーストーン
出演 ニコラス・ケイジ マギー・ギレンホール マリア・ベロ スティーヴン・ドーフ ジェイ・ヘルナン
デス フランク・ホエーリー

生還した警察官ジョンマクロリンとウィルヒメノの実話をもとにした映画、WTC、9・11を始めて
映画化した作品である。
オリバーストーン監督といい前評判は高かったが、はっきり言ってえやはり9.11は仮題として
は重いという感じである。
全編が遭難した警察官の救助と家族の物語になっている。さらに生き埋めシーンは画面が暗
くて圧迫感だけがある。
あの状況では役者の細かな表情が出せないだろう。
さらに登場するマイケルシャノンのOB海兵隊員の不思議な動き。救出後の英雄扱いの話。で
何が言いたいのと言う感じである。
描くべきは2700名の犠牲者のほうではなかろうか。設定としてはあの事件に巻き込まれた人
たちの日常と悲劇をオムニバス的にして、その一つに警官の物語を加えたらよかったのではと
思う。
むしろあのタワーリングインフェルノのほうがずっと緊迫感があった。
していえば 2人の妻役(マギーギレンホール・マリアベロ)の好演は目を引いた

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30 海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ

2006 監督 太田隆文
出演 谷村美月 芳賀優里亜 伊藤裕子 小西博之 三船美佳 佐津川愛美 東亜優 吉行由実
波岡一喜 並樹史朗 水沢有美



名古屋では1館上映早朝のみだったので見逃してしまったので改めてDVDで見た。
紀州田辺の町を素材としたカメラワークが特にすばらしい。
まさに、海、空、町、人、作られたものではない素材を活かした丁寧な料理のようだ。
さらにそこに登場するはじめて見た4人の女子高校生も新鮮である。
死んだ3人と残った1人の対比が話的には面白い。その不思議なストーリーが田辺の海と空の
下の、なつかしい風景の中で続いていく。
ただ、もう少し話にメリハリがあってもいい感じもしたが
谷村美月は、「バトルロワイヤル」で柴咲コウを見たときのような衝撃を感じた。三船美佳もバ
ラエティとは違いさすがに三船二世、いい味を出している。「パッチギ」の波岡一喜は軽妙で、
全体を綺麗に引っ張っていく感じだ。
中でも一番なのがこの紀州田辺の懐かしい昭和の香りのする風景、雲も、海もみんなこの青
春の抒情詩にとってはすばらしい舞台だ。
ラストシーン、「幸せの黄色いハンカチの倍賞千恵子」のように登場する水沢有美演じるマキの
母、死神、そして2人の女子高生、田辺の町を背景に、天国のような高台の場所でのラストシ
ーンは中々 心に残るものである。


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29 フラガール

2006 監督 李相日
出演 松雪泰子 豊川悦司 蒼井優 南海キャンディーズ 池津祥子 三宅弘城 寺島進


2006年NO1評価の映画である。一つ一つのシーンの積み上げでストシーンまでうまく出来て
いると思う。ラストシーンでは思わずこちらも盛り上がってしまう。
常磐炭鉱のボタ山とハワイアンという奇妙な取り合わせ自体面白いもともと題材であるが、炭
鉱の日常生活や、フラダンスチームを作っていく過程の悲喜こもごものエピソードがコンパクト
にまとめられて並んでいる。駅のシーン、ダンスシーンなども綺麗で印象的である。
岸部一徳が語り手のように各シーンを引っ張っていく。とにかく蒼井優が抜群に光っている。
YAMATOの時もそうだが、感情を抑えて表現していく演技は彼女独特の個性だろう。
美しさよりも存在に惹かれてしまう。
泣かせるのは、志賀勝と、しずちゃんの親子、彼女の演技が不器用な分だけよけいに泣かせ
るのはこの監督の演出なのだろうか。その中で、初子役の大人計画の池津祥子が軽妙な味を
出している。

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28 日本以外全部沈没

2006監督 河崎実 出演 小橋賢児 柏原収史 松尾政寿 イジリー岡田 つぶやきシロー 松
尾貴史 筒井康隆 黒田アーサー 中田博久 寺田農 村野武範 藤岡弘


筒井ワールドの映像化、日本以外世界が全部沈没して外人が日本に流入し問題となっている
世界を描いている。そこでの、西洋かぶれから日本志向、外国語より日本語、などという発想
の転換を、皮肉たっぷりに描いている。
とにかくギャグがいっぱい。、ペピトーン大統領、ラインバック長官、各国の首脳も、やむ終え
ず日本に来て、村野武範演じる、日本国安泉首相の下に従う存在に、その集うBARのシーン
では各国の文化を徹底的に皮肉くる。さらに落ちぶれたハリウッド俳優、外国人ホームレスな
ど、笑ってしまう面白い話ばかり。
デーブスペクタ−が外国難民のための日本語学校をやって儲けていたり、天気予報ならぬ外
人(暴動)予報を森田良純がやっていたり、極めつけは政府広報「ニッポン音頭」画面いっぱい
の村野首相には笑える。
河崎実監督らしいマニアックな特撮、主人公の青年達は普通ながら、本編日本沈没主演の村
野武範、藤岡洋。キャプテンウルトラの中田博久、寺田農といったベテランがまさに快演であ
る。つぶやきシローの大家もいやらしい。
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27 明日の記憶

2006 監督 堤幸彦
出演 渡辺謙 樋口可南子 坂口憲二 吹石一恵 水川あさみ 木梨憲武 及川光博 渡辺えり子
香川照之 大滝秀治 袴田吉彦 松村邦洋 MCU 遠藤憲一 木野花 田辺誠一

難病患者の生活をそのまま描けばドラマはできる。アルツハイマーもの PureSoul 消しゴムし
かり、あとどれだけの思想を詰め込みリアリティーに描くかが課題となる。
ストーリーはちょっと先を読める感じで平凡すぎる。もう一ひねりがあってもと思う。世界の渡辺
謙、樋口可南子は演技が安定していて、感情表現も豊かですばらしい。脇を固める香川照之
はじめ脇役者も豪華で芸達者ぞろいである。もうあとは映画の構成と図ができてれば最高なの
だが。
まず冒頭のシーンはラストにもっていったほうがいいのでは?あそこの芽吹ちゃんの写真に視
点を持っていって真っ黒のエンドロール・・という作りも面白いのでは。
図で言えばホームのシーンがすばらしい。患者役の窪田かね子、松本美奈子の表情がいい。
さらに職員の木野花。安曇野の美しい自然など。さらに妻の若き日を演じた松岡璃奈子がピュ
アで美しい。 
大滝秀治の怪演もあるのだが構成の中であまり生きていない。もう一つのひねりがないからだ
ろう。

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26 武士の一分

2006 監督山田洋次 出演 木村拓哉 桃井かおり 坂東三津五郎 小林稔侍 笹野高史 緒形
拳 赤塚真人

毒見番という面白い存在の下級武士を描いたものだが、さすが山田洋次作品、人の心の動き
を的確に表現し、笑いを降りまぜながら、観客を引っ張っていくその技法はさすがだ。カメラワ
ークもよく、特に最後の三村と島田の決闘シーンは迫力もあり動きも面白い。
この作品で特に光っているのが、笹野高史である。三村家の下男、ちょっとおどけた道化師の
ようで、それでいて、しめるところはきちんとしめている。まさに画面の中を縦横無尽に演じてい
る。生きていれば、いかりや長介が演じそうな役だが、笹野のほうがちょっと軽い感じでいい。
この徳兵衛が、面白くこのストーリーを引っ張っていく
宝塚出身の壇れいは、始めて見るが確かに美しい。長身でないので木村拓哉の相手役として
はあっている。これからテレビ・映画と出てくるだろうが期待十分だ。
なによりも笹野あっての映画だ。桃井かおりも独特の存在感を出している。
ただラストシーンが読めてしまうだけに残念だが、うまくできた小品だと思う。

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25 硫黄島からの手紙

2007年
監督 クリントイーストウッド 出演 渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童、裕木
奈江、松崎悠希、渡辺広:藤田正喜、尾崎英二郎、ケンケンセイ、阪上伸正

戦争映画といえば昔は史実に正確に、指揮官たちを描くものが多かった。この作品は指揮官
と一等兵という二つの視点から、硫黄島の史実をうまく表現している。
とにかくCGのおかげで押し寄せてくる米軍の迫力はすごい。戦闘シーンはさすがハリウッド、
手抜きのない上質の出来である。
思わず画面に吸い込まれ、観客は西郷一等兵の視点になり、連日の砲撃、攻撃、火炎放射
器など地獄を味わう。
渡辺謙はともかく、伊原剛志のバロン西、中村獅堂の伊藤中尉はまた違った日本のヒーロー
を感じたのではなかろうか。さらに小柄で少年のような二宮和也のストイックで繊細な演技に涙
した人もおおいだろう。
この作品で、日本の観客が驚いたのは、その他の俳優人だろう。優しさがにじみ出る野崎役
の松崎悠希は人間味いっぱい。途中から、隊のリーダーを取る大久保中尉役の尾崎英二郎
はクレバーな感じで安心感いっぱいである。観客たちの地獄への道行きの不安を少しほっとさ
せる。
さらに市丸少将役のケンケイセイ、栗林中将の副官役の渡辺広など、日本のテレビであまりな
じみのない脇役陣が好演してこの映画を盛り上げている。
さらにハリウッドでありながら全編日本語の作品であるのはうれしい。史実も研究されているの
か、イーストウッドの描いた日本はかなり正確である。
しいて言えば ラストの硫黄島調査隊のなかに、西郷がいてもいいのではと思ったが?

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24 極道の妻たち 情炎

2005 監督 橋本一 出演 高島礼子 杉本彩 未向 保坂尚輝 山田純大 矢野明 大木


このシリーズも高島礼子で落ち着いてきた。今回は杉本彩 未向の「花と縄」コンビが参加。特
に「初代組長の娘」役の未向がセクシーであり、演技もうまい。さすが児童劇団からのたたき上
げである。この味が全体のポイントとなっている。
ストーリー展開も、このシリーズいつもの、ありえない大げさである。さらに話もオーバーで見て
いて楽しいが残るものはない。殺戮シーンはリアルでカメラワークもいい。
とにかく松重衛の迫力がほとんど画面を食っている。その逆に保坂の力まない演技が逆に浮
き立っている。やくざの中では六平直政の小頭が泣かせる。
また続編があるのだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜   23
23 犬神家の一族

2006 監督 市川昆 出演 石坂浩二 加藤武 富司純子 松坂慶子 松島菜々子 萬田久


30年を隔ててのリメイク。石坂浩二・加藤武の旧コンビ、「よしわかった」、テーマ曲もそのまま
の作品。大きな違いは前作の高峰松子から富司松子に変わったところ。高峰松子のどろっと
した感じが少し軽くなったような気がする。がさすが緋牡丹のお竜の迫力は十分。
松島菜々子はやはりでかい。ショットを撮りにくかったのだろうなあと感じた。珠代という役がミ
ステリアスなだけにそれでもいいのだが、島田陽子とはまったく違った味だった。ただ永澤の猿
蔵は前作のまるで生き写しのようだ。
前作の三女梅子から今回役代わりした草笛光子はまさに当たりだろう。当初は岸田今日子
だったそうだが、草笛香琴も味がある。
金田一耕介の石坂浩二は前作そのままのエネルギッシュさだが、加藤武の所長ともどもちょっ
と老けたなあと感じた。あえて言えば豊川・西村コンビとか若手に変えてもよかったのでは?
あと光っていたのは青沼琴乃役の新人松本美奈子か、ブレイクしそうな気がする。

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22 イヌゴエ

2006 監督 横井健司 出演 山本浩司 馬渕英理何 村上淳 遠藤憲一 手塚とおる

フレンチブルドックの声が関西弁のおっさん声 という発想が面白い。悪臭対策屋の主人公は
あくまで平凡で物悲しい。同僚達もあまり個性的ではない。
ブルドックと主人公の会話が軸となるが、ストーリー自体はあまり起伏もなく、ところどころに散
りばめられた皮肉が笑いを誘うだけである。
映画としての迫力がもう一つ、これならテレビドラマで十分である。
ただ流れるチターの切ないメロディーだけが後に残る。
遠藤憲一のブルドックの渋い声は確かに面白いが、あまり惹かれるところのない作品だった。

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21 THE有頂天ホテル

2006 監督 三谷幸喜 出演 役所広司 松たか子 佐藤浩市 オダギリジョー  YOU 篠
原涼子 西田敏行  唐沢寿明

役所・松・佐藤浩市・唐沢・オダギリ・香取慎吾・篠原涼子・西田・津川・・ら主役級のスターを並
べて、さらに脇にも寺島進・YOU・浅野和之・近藤芳正など個性派の演技派を並べている。豪
華すぎる。これではいいエンタティーナー作品になるのは当然である。ごちゃごちゃしているが
確かに面白い。
いくつかのストーリーが一つのホテルの中ですすんでいく。それも年越し向けて。榎木兵衛の
老腹話術師がいい。寺島の手品師、YOUの売れない演歌歌手と並んで光っている。
役所は ShallWe DANCE のイメージで戸田とうまく進行させていく。西田は狂気を、さらに佐
藤浩市はエゴいっぱいの政治家をコンパクトに演じている。笑えるのが角野卓造のくねくねダ
ンスの大学教授の随所でのあわてぶり。篠原はクールに動いていく。随所に落としどころのあ
る細かなつくりだと思う。
しいていえばストーリーがとっぴ過ぎるのと、落としどころがなんとなく見えてしまうところ。ただ
最後のYOUの歌には救わ

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20 私の頭の中の消しゴム

2004 監督 イジュハン 出演 ソンイェジン チョウソン ペクチョンハク

この映画って TBSドラマの 「Pure soul」 の焼き直しだよね 永作博美・緒形直人で語った
あの日本の名作ドラマ

アルツハイマーとか難病を語ればドラマになる。
しいて言えば、ソンイェジンは美しく魅力的だ。チョウソンは豊原功捕っぽい!日本だったら小
西真奈美と福山でリメイクすれば面白いと思った。


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19 木更津キャッツアイ 日本シリーズ

2003 監督 金子栄紀   出演 岡田准一 塚本高史 櫻井翔 酒井若菜 岡田義徳
古田新太 薬師丸ひろ子

クドカンワールド、冒頭シーンの30年後のバンビが中尾彬 で驚かされる。速いテンポ、切れ
のいいカメラワーク、奇抜なストーリー、ストレートなセリフとオーバーで新鮮な若い役者たち。
見ていて気持ちがいい。主人公のがんで余命がない という暗い設定の上に恐ろしくはちゃめ
ちゃで楽しいストーリーが乗っかっている。
見ていて隙のない面白い映画である、続編ができるのも納得できる。
カメラの視線がとにかく面白い、それでいてローカルな木更津の風景を的確にとらえている。
阿部サダヲ、古田新太 芸達者が画面を締める。岡田准一以下5人の男主人公は、個性的で
新鮮だ。2から3の線の塚本高史が光る。
しいていえば南洋の島に流されるシーンはもう一工夫できるのでは 

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18 力道山

2004 監督 ソンヘソン 出演 ソルジョンク 中谷美紀 船木誠勝 藤竜也 橋本真也 で
んでん

「日本人は力道山を知らない」がテーマだが、ノンフィクションなのにかなりの部分が事実と違
いフィクションである。息子たちもアントニオ猪木も出てこない。
姿勢は力道山という人の人生を描こうとしている。さすがに本物のプロレスラーとのプロレスシ
ーンは迫力満点である。
脇の中谷美紀はか細く、藤竜也はあくまで渋い。これは久々の好演である。
ストーリー的にはある程度史実とあわせようとしているが、そこから何を語っていきたいのかが
もう一つ伝わってこない。人間性が出てくる場面でもすぐに暴力で最後壊れてしまっている。も
う少しねちっこくやってもいいのでは。
本物のレスラー達は演技がけっこううまい。井村を演じる船木は迫力満点でかつて眠る男主演
の武藤敬司もさすが!さらに横綱を演じる故橋本真也には不思議な貫禄を感じる。
 味のあるでんでんの台詞が光る。

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17 県庁の星

2006 監督西谷弘 出演 織田裕二 柴咲コウ 井川比佐志 ベンガル 佐々木蔵之介 中
山仁 紺野まひる

ヒット作の軽快なコメディーであるが、その中にこめられた思想が感じられない。ストーリーがち
ょっとオーバーすぎてあくまでおとぎ話のような感じがする。
さらにこれを映画で見せるべきであるという、映画の持つワイド感が感じられない。この内容で
はこじんまりとした連続テレビドラマで十分である感じがする。
スーパーの惣菜部の中のごちゃごちゃした感じや、県庁のコーヒーバー、消防署の立ち入りあ
たりはかなり細かく描いているがそれらのシーンがもう一つひきつけるものがない。
柴咲コウは、「バトルロワイアル」以来どの作品でもいい味を出しているし、この作品でもコケテ
ィッシュで印象に残る存在だ。井川の弱弱しい店長。ベンガルの不思議な市民団体代表など
は好演だと思うが。

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16 寝ずの番

2006 監督 津川雅彦 出演 中井貴一 木村佳乃 長門裕之 田中章 堺正章
岸部一徳 笹野高史

冒頭のエピソードか強烈で、番宣でもその部分だけが強調されていたがそれゆえに全体を見
てしまうとうーんこの程度かと思ってしまう。
稀代の落語家を演じる長門裕之は絶品で、堺、岸部、笹野といった脇の役者も、こういうコメデ
ィーを演じるには力量が十分あるので、それぞれの場面はかなり面白くできているが 全体に
もう一つ押してくるものがない。
むしろ冒頭のエピソードをラストでもってきたほうがまとまるのではと思ったぐらいだ。
弟子の中では横山アウトの息子田中章が新鮮。木下ほうかも中井と五分の芝居をしているし
木村の快活な芝居は気持ちがいい。
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15 かもめ食堂
2006 
監督 萩上順子  出演 小林聡美 片桐はいり もたいまさこ

食堂もの人情劇の上質の舞台を見るようである。さらに舞台設定がフィンランドと言うところが
奇抜だ。原色のヘルシンキの町並みが美しい。
この3人の芸達者の個性を並べればどんな舞台だってできるだろう。
逆にそれ以外の役者はすべてフィンランド人というのもうなづける。
小林聡美は、寺島しのぶとともにこれからの日本映画界で大きな存在となっていくだろう。
片桐・もたいはいうまでもなく個性の塊である。
内容は特に大きなストーリー転換もなく質感のいいコメディーと 美的な料理のオンパレードに
心は和む。
主張したいところは主張してはいるが、苦しいところがないのがいいのやら悪いのやら。
印象としては薄く感じてしまう。
おにぎりとムーミンだけが残っているような気がする。
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14 ホテルルワンダ
2006 
監督 テリージョージ 出演 ソフィオコネティ ホアキンフェニックス

アフリカの片隅での100万人虐殺と言う事実を忠実に表現した作品。UNの弱さ、利権にしか
動かない先進国、虐殺される子供達の虚しさ、民族と言うのは偶然の壁でしかないという、お
ろかなドグマが招く悲劇のおろかさを的確に表わしているが、はっきり言ってしまえば日本のよ
うな平和な国で、一般受けする映画ではない。
遠いアフリカの夢のような話である。
資源に関係ない弱小国、世界はまったくこの紛争を注目しなかったのが現実だ。
主人公のホテル支配人は右往左往し自己防衛に走ろうとするか何かに目覚め、ホテルを避難
所とする。
でも押されていく現実、その中で無力なUN 大佐役のリックノルティが何もできない人間の弱さ
を象徴している
ラストシーンはノアの箱舟を思わせる、

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13 TAKESHIS'

2005
監督 北野武 出演 ビートたけし 京野ことみ 岸本加代子 大杉漣 寺島進 美輪明宏 ビ
ートきよし

映画はストーリーの面白さを楽しむと考える人にとっては、これはまったく謎のような映画だろ
う。ストーリー性のないいわば趣味的技巧的芸術型映画だ。寺山修司映画に近い。理解しが
たい同じシーンの繰り返しと不思議な連結など、何度見てもこの映画のコンセプトは理解でき
ないだろう。ただ、映画を芸術表現として捕らえるならば、個々のシーンのつくりや色合いはす
ごいものがある。皮肉、象徴、シンボルカラーの青。でもただそれが並んでいるとしか理解でき
ない。北野組(岸本 大杉 渡辺 芦川等)はあいかわらず軽妙だ。寺島進は光っている。追っ
かけ役の河内浪江 ベテラン住吉正博 久保晶も光っている。タップ・ヨイトマケ・赤軍 中身は
盛り沢山だ。でもそれがストーリーでつながってこないので逆に不気味だ。たけしは相変わらず
だが、京野ことみはあまり生かされていなくて消化不良のような気がする。コント300キロも、
「菊次郎の夏」の、義太夫・らっきょ のように見るものを動かすものがない。

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12 ALWAYS'

2005
監督 山崎貴 出演 吉岡秀隆 薬師丸ひろ子 堤真一 堀北真希 三浦友和 マギー 
益岡徹 小雪

VFXにより昭和30年代を見事に再現した映画である。小道具の時代考証もすばらしい。
都電が走り観音開きのクラウンが走る街、大井川鉄道ではないSLの情景など、技術の進歩
には感動する
ストーリーはありきたりのものでエンディングは読めるが、それぞれのシーン作りが丁寧でい
い。泣かせる作りである。
竜之介の婚約指輪のシーン、サンタのシーン。淳之介の戻ってくるシーンなど。
汽車と併走する三輪オートの3人に昭和を駆け抜けてきた自分を当てはめた人も多かろう。
とにかく見た人の評判はいい。万人受けする傑作であることは間違いない。
吉岡秀隆、堤真一といった油の乗った役者の力演に、芸達者な脇役陣、もたいまさこは快演
だ。薬師丸ひろ子は目立たなくも着実につないでいる。光っているのが子役の2人と堀北真
希。さらに1シーンではあるが奥貫薫や麻木久仁子もうまく使っている。
残念なのは小雪の汚れ役。なんとなく時代にあわない感じがするし汚れていない。この役は鈴
木京香のほうがいいような気がしたが。

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11 メールで届いた物語 

2005(オムニバス)
『Mail』監督 清水浩 『CHANGE THE WORLD!』監督:伊藤裕彰 『アボガド納豆』監督:鈴木
元 『やさしくなれたら…』監督:鳥井邦男
出演 加瀬亮 相武紗季 吹石一恵 多部未華子 岡田義徳 大倉孝ニ 北村一輝 津田寛
治 原沙知絵 川津春 緒方美穂

4つの物語のオムニバスである。中堅の脂ののった4監督の力作でまさに拾いものの小作品
である。物語を縦横にメールがつなぐ。
1本目『mail』は、相武紗希の爽やかな無言の演技と北野武的カメラワークが幻想的だ。青山
監督は北野組だと聞くが。 『CHANGE THE WORLD』は 吹石一恵がタクシー運転という点で
驚かされる。図太く生きていく女性の姿をうまく描いている。表情豊かな天使の女子高生役の
多部未華子には「HONOKIO」以後これからのブレイクが期待できる。 『アボガド納豆』は岡
田義徳 大倉孝ニの居酒屋での軽妙な掛け合い芝居だ。佐伯新の店員の「よろこんで〜!」
が耳に残る。
『やさしくなれたら…』は4日間で撮りきったとは思えないできである。振り込み詐欺と淡い恋を
セットにテンポよく展開していく。詐欺師を津田寛治 北村一輝がかっこよく演じている。原沙知
絵の同僚を演じる川津春 緒方美穂はとてもリアルであり、主人公に起こった悲劇をうまく盛り
上げている。

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10 ドラマ 電車男

2005 フジテレビ 出演 伊藤淳史 伊東美咲 岸部シロー 劇団ひとり 菅原永二 堀北真希
 白石美帆

 これは久々に面白いと思った。ドラマの進行と ネット住人たちの進行と 2つの進行を持っ
たドラマだ。いまや乗っている主人公役いとうコンビに、目をむいて熱演する白石美穂.。
でもこのドラマのすごさは ネット住人たちを演じる、小劇場、劇団系の役者たちだ。
東京には無限数の役者が転がっているのだ。
「トラきち」役の扉座の六角精児、「川端やすなり役」のCAB DRIVERの矢柴俊博 パッチギか
ら出てきた「きしわだ」役 波岡一喜 「天体観測」の山崎樹範 「車掌」役の漫才ワンダラーの
土井よしお、「ジャージ男」役の劇団ペテカンの本田誠人、「バスケット選手」役の鄭龍進 など
多種多様だ。
 これに 温水洋一 なすび なども入り短い出番ではあるが軽快に展開していく。自分もその
ひとりになったようで

「もうひとつの最終回」では、宴会の後のお茶づけのようなすがすがしさを感じた。
この中から時代を支える役者が出てくるのだろう。

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9 男たちの大和・YAMATO

2005 監督 佐藤純彌  出演 中村獅堂 松山ケンイチ 蒼井優 長島一茂 山田裕大 
反町隆史 本田博太郎
   
戦争と平和と生きることをテーマにした作品。戦闘シーンはCGの進歩で昔よりうまく表現できる
はずなのだが、ロケセットの観光資源活用のために何も壊されていないのが奇妙。しかも戦闘
シーンは細切れでテンポが速すぎ何が何やらわからない感じだ。もう少し長く
シーンを作ったほうが、味が出るのではないか。
芝居のほうでは寺島しのぶが光る。あれだけのシーンを大きく広げている。助演女優賞もの
だ。獅堂も力演している。松山ケンイチも蒼井優も実直に演じお客を泣かせる。
それに比べ飛鳥丸の話のほうは なんで必要なの? と思われるほど不自然だ。名優仲代の
演技はすばらしいが。指揮者たちのシーンも味が出てこない飾り物のようだ。いい役者使って
いるのだから、伊藤長官や有賀艦長も仕草・台詞で何とか味が出せるのでは
むしろ全体的にエピソードを減らして軸を固定したほうが深まったのではなかろうかと思う。

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9 SAYURI

2005 監督 ロブマーシャル 出演 チャンツイイー ミッシェルヨー 渡辺謙 役所広司 工
藤夕貴 舞の海秀平 コンリー 桃井かおり

東洋をミックスした日本のような世界を舞台にした映画だ。日本人がつぶさにみれば中身は奇
妙なのだが、あえてそのことは論じない。
映像はきらびやかで、そのうえチャンツイイーはあくまで堂々としている。別にこの作品工藤夕
貴を主役にして、できないこともなかろうが、チャンだというところがこの映画の不思議な魅力
だ。
ストーリーは女たちの争いということでそれなりに面白い。
でも日本的な泥臭さではなく、戦いの勝ち負けで上っていくといういかにもアメリカドリーム的な
展開だ。
3人の東洋人と2人の日本人、桃井かおりはいつもの味を出している。工藤はハリウッド好み
のオーバーアクション。男性陣では、渡辺謙の迫力に比べ Shall WE Danceでアメリカでも注
目を浴びた役所広司は元気がない。
チャンツイイー ミッシェルヨー コンリー は日本の芸者にはない不思議な妖艶さがありぞくぞ
くさせられる。
なお 宮城山の舞の海 ケーシー高峰みたいな蟹の先生は ジャパニーズ サービスか?


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8 Dolls

2002 監督 北野武 出演 西島秀俊 菅野美穂 三橋達也 深田恭子 武重勉

砂の器の道行きのシーンを模倣した西島と菅野の物語。和的な絵画を見るような画面だ。
西島秀俊は屈折した若者を演じると最高である。菅野には不思議な存在感がある。
その画は悲壮である。赤い紐につながれた2人。さらに遺作となった三橋達也の老親分の恋
顔に傷を負ったアイドル深田恭子。歌が明るい分悲しい。
この三つのストーリをつなげているが、カメラワークも色もいいし、役者もうまく演じているのに
映画としてはつまらない。ストーリーの面白さがないのである。カンヌで賞をとったHANABI
との違いである

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7 帰らざる日々

1978 監督 藤田敏八 出演 永島敏行 江藤潤 浅野真弓 竹田かほり 中尾彬

厳しい敏八監督の映画
飯田行き急行からはじまるシーン、それは遠い思い出に繋がっていく。
永島敏行と江藤潤の屈折感のある青年、それに今や柳ジョージ夫人の浅野真弓の真紀子が
天使のように美しくからむ。でも彼女は彼氏の中尾彬の子をはらんでいる。竹田かほりの可愛
さ 朝丘雪路の色っぽい母など すべてが抒情詩となり、不思議な運命の中、、飯田の美しい
風物の中に溶け込んでいく。
八月の濡れた砂 と同じ視点にあるような気する。

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6 八月の濡れた砂

1971 監督 藤田敏八 出演 広瀬昌助 村野武範 中沢治夫 テレサ野田 原田芳雄

オープニングのバイクでの疾走シーン、海岸で、全裸で海を眺める少女、この映画はまるでフ
ランス映画の上品を見るようだ。青春の時期のやるせない気持ちと感情の起伏を見事に表し
ている。監督は故藤田敏八。青春の無常さを描かせたらすごい。
演技や画面はかみそりのように鋭い。主人公を演ずる広瀬昌助の悩み 不良の落第生の村
野武範のエネルギー、さらに優等生を演じる中沢治夫の自己矛盾 どれもいい 女性ではテレ
サ野田の細さが 観客を引き込む
 中沢が、泣きながら恋人をレイプするシーンは圧巻 ヨットの上で姉をレイプするシー
ンと沈んでいくヨット、偽外人っぽい原田芳雄の神父などなど、一つ一つのシーンが心に残る。

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5 竜二

1985 監督川島透  出演 金子正次 北公次 桜金造 寺島進 永島瑛子

この映画を語る上で端的な言葉は日本アカデミーでの大島渚の言葉だろう。金子正次が新人
賞をとったのだが、「金子君 君がこの舞台にいないのが残念でならない。」竜二はやくざ映画
でもヒーローものでもない。人間の日常に潜む見栄 孤独 弱さを描いた作品である。主人公
竜二は一度かたぎにもどろうとする。永島瑛子の包み込むような暖かい女房と家庭 それに甘
えようとする。弱さに落ちて行く桜金造と弱いゆえに生き抜いていく北公次の対比もすごい。
人間は強くて弱いものであるというテーマ。当時は東京にいたので映画館を出た先が竜二の
世界だった。金子正次氏は小劇団出身 松田優作のようにシャープでシャイである。
ちょっと出てこない映画であると思う。口コミでヒットした映画でもある

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4 パッチギ

 2005  井筒和幸監督  出演 塩谷瞬 沼尻エリカ オダギリジョー 揚原京子 

40以上の世代にとってはいきなりのオックスとマッシュルームカットで驚かされる。
テーマは朝鮮人問題 重いテーマをアップテンポの喧嘩シーンで軽快に描いていく
観光でない京都の町をうまく使っている。単カメラもいい。
主人公の塩谷俊 沼尻エリカらは新鮮 さらに脇をしめる前田吟、松ノ助、ぼんちおさむ、木下
ほうかなども好演、揚原京子も久々の銀幕ではないか?
さらに、光石研の教師が滑稽でいい。痛烈な共産主義批判だ。またタメゴロー風のオダギリジ
ョーは 今までのイマージを壊した役どころだ
圧巻は大友公平 世界中に流せない歌なんて望遠鏡で探したってない 彼の歌へのコンセプト
だろう。とにかく細かなエピソードで笑いを取り、着実にメッセージをつたえていく。していえば、
もうひとつドラマチックな展開があってはいいのではと思った。
全編に流れる「フォークル」は音楽の加藤和彦の思いが伝わる
トークもいいが 井筒イズムも見たい



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3 血と骨

 2005  崔洋一監督  出演 ビートたけし 鈴木京香  新井浩文 田畑智子

巨体の怪物 金俊平 を 小柄なタケシ ではやはり厳しいものがありました。原作の持つ迫
力が感じられない。タケシワールドになってしまう。でも竹内力、力也 他の役者さんを考えても
どうこの主人公を演じれるのか、いい答えは出てこないような気もした。
ストーリーは、原作を読み込んでいたので何とか理解できた。が単体の作品としてみればかな
り難解である。その中で新井裕文、田畑智子、中村優子、濱田マリといった新しい血が頑張っ
ていた。こと中村優子は「火垂」といい、不思議ないい味を持っているので、今後どう活躍して
いくか楽しみである。



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2 誰も知らない

 2004 是枝和裕監督  出演 柳楽優弥 YOU 韓英恵 

現実の巣鴨事件をそのまま作品にしても、訴えるメッセージはアブノーマル でしかすぎないだ
ろう。これより厳しい現実の事件はいくらでも存在する。この作品では 三女に暴行を加える友
人も引きこもりの女の子に変えたりしてソフトにしているし。むしろ最近増えてきている幼児虐
待を象徴化し、それに対する子供の生命力みたいなところが軸になっている。
カメラワークはいい。演技者では子供達は自然体であるが韓英恵がなんともいい。YOU 木村
祐一など新しい個性の中で コンビニ店員のタテタエコがほっとさせる。子供達を見守る監督
のように思える 



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1 阿弥陀堂だより


 2003 小泉尭史監督  出演 寺尾聡 樋口可南子 小西真奈美 田村高弘
 
この映画のすごさは北林先生の演技ですね 樋口 寺尾という脂の乗った2人が食われてしま
っている。
おうめばあさん という映画のテーマを砕いていく存在を
地に見えるけど計算された演技で落としていく カメラワークのよさもあるが 大きな重いテーマ
をまったく重く感じさせない
樋口 寺尾 とまったく白の小西真奈美 新鮮な取り合わせでおもしろい 天体観測から見て
いるが小西嬢は今後どんな女優になっていくか計り知れないものがある
わかりやすい丁寧な映画






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